2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄再生の足場となる新規自己集合体ペプチドゲル有効性の検証
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15K10398
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 圭 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40566973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40467288)
伊藤 全哉 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50447819) [Withdrawn]
小林 和克 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00706294)
飛田 哲朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80566399) [Withdrawn]
伊藤 研悠 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10732638)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 足場 / ペプチドゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の日本では約50万人の以上の患者が麻痺を抱えたまま生活を余儀なくされており、毎年5000人以上の患者が脊髄損傷を来たし、個人と社会に与える肉体的、精神的、経済的負担は極めて大きい。これまで我々は脊髄再生抑制効果をもつケラタン硫酸(KS)プロテオグリカン(PG)阻害剤であるケラタナーゼ投与、そして神経堤由来の細胞集団である歯髄幹細胞を損傷部位に移植することで有意な機能回復が得られることを報告してきた。しかし移植の際、足場となる媒体の使用については未だ一定の見解が得られていない。本研究の目的は、いまだ未確立の脊髄損傷治療に対する細胞移植の足場となる新規自己集合体ペプチドゲルの効果、役割を調べることである。 現在までの成果として、In vitroでは、 ペプチドゲルを媒体とした3次元培養を行ったところ、神経細胞に対する毒性はないどころか神経軸索突起が有意に伸長していた。RNAレベルではGDNF, BDNF, NGFといった神経栄養因子、そして炎症系サイトカインの発現に有意な変化が認められた。In vivo:では脊髄損傷モデルラットにおいてペプチドゲル投与により、神経成長因子の発現量が増加し、神経再生の促進が投与後速やかに開始されたと考えられた。また、MMP-9、3の発現量が投与7日後に最も高い値を示し、経時的に低い値となった。組織染色では損傷部周囲に明らかな細胞の侵入、そして神経軸索の侵入が確認された。新生軸索和は有意にペプチドゲル使用により増加していた。また物理的バリアーとなり軸索伸長を阻害し得る繊維性瘢痕(Collagen type4染色)では、染色範囲が減少していることが確認された。一度損傷が生じても、細胞が発育するに快適な環境が存在すると考えられた。現在リハビリとの併用による効果を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請に沿い研究を進めてきた。最終年のみ、リハビリ併用効果(トレッドミル)を裏付けるデータ(下肢運動機能評価)、およびトレーサーを用いた軸索再生促進効果(脊髄損傷後8 週間で、麻酔下に脳へ10%BDA(Invitrogen 社)を左右3.5μl ずつ注入する。その2 週間後sacrifice し、前述の蛍光画像解析システムにて新生軸索のFiber count や軸索再生、sproutingの形態などを解析する。Count は、損傷部位から頭側10mm のBDA 陽性線維数に対する、損傷部位から尾側10mm のBDA 陽性線維数の比で評価する。)についての結果を現在検証中である。また、脊髄損傷モデルの蛍光顕微鏡を使用した画像評価を行っているが、オールインワン蛍光顕微鏡のメタルハライランプ故障のため、撮影、評価が遅延し、4月以降の画像評価となる。すでに少数例ではMRI、顕微鏡評価できており、4月以降は問題なく評価可能である。これらの評価により現在まで得られた知見を更に確実なものにできる。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤の安全性と生体内の安定性を検証し、その脊髄損傷後麻痺回復に寄与する程度を確認する。今後臨床面で使用されうる細胞、リハビリなどとの併用による多方面における、本ペプチドゲルの効果について検証していく。
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Causes of Carryover |
脊髄損傷モデルの蛍光顕微鏡を使用した画像評価を行っているが、オールインワン蛍光顕微鏡のメタルハライランプ故障のため、撮影、評価が遅延し、実験動物、抗体の経費分が残った。すでに少数例ではMRI、顕微鏡評価できており、4月以降は問題なく評価可能であるので、実験動物、抗体の経費として使用する予定である。これらの評価により現在まで得られた知見を更に確実なものにできる。
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Research Products
(1 results)