2016 Fiscal Year Research-status Report
神経筋接合部の変性制御により神経損傷後の運動機能回復を促進する薬理学的アプローチ
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15K10401
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗本 秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70597856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 久雄 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (30738349) [Withdrawn]
西塚 隆伸 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20725535)
平田 仁 名古屋大学, 予防早期医療創成センター, 教授 (80173243)
山本 美知郎 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (90528829)
岩月 克之 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90635567)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 末梢神経損傷 / 神経筋接合部 / アセチルコリン受容体 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、坐骨神経損傷モデルマウスを用いたWntシグナルの発現とWntシグナル伝達経路のターゲット遺伝子や蛋白の発現を評価し、Wnt/βカテニン依存性経路が脱神経後のアセチルコリン受容体分散に関与していることを示した。本年度は、Wnt/βカテニン依存性経路を抑制することによるアセチルコリン受容体凝集の促進効果について検討した。WntアンタゴニストであるIWR1及びQuercetinを用いてWnt/βカテニン依存性経路を抑制した。マウス筋芽細胞株を用いてmyotubeを作成し、至適なAgrin濃度下におけるアセチルコリン受容体凝集を、Wntアンタゴニスト投与の有無で比較した。免疫組織学的評価に加え、Rapsyn, Lrp4, MusK, Axin2のmRNA発現量を検討した。その結果、アセチルコリン受容体の凝集については、IWR1投与群において、濃度依存性にアセチルコリン受容体凝集量が増加することがわかった。Quercetinについてはターゲット遺伝子の発現量も変化を認めず、Wnt/βカテニン依存性経路を十分に抑制できていなかった。本研究において、Wnt/βカテニン依存性経路を抑制することが、アセチルコリン受容体の凝集に促進的に働く可能性が示された。また、これまでにhigh-throughput screeningによりアセチルコリン受容体凝集促進の可能性が示されたFDA既認可薬についても、引き続きin vitroでの検討を行っている。神経再生後の良好な運動回復を得るためにはアセチルコリン受容体の高密度な再凝集が必要となる。Wntアンタゴニストが、神経筋接合部の再形成促進を薬理学的にコントロールできる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経筋接合部再形成促進薬の検討において、high-throughput screeningにより得られた結果とsecond screeningにより得られた結果に相違があった。そのため、high-throughput screeningにより神経接合部再形成を次に促進すると考えられた19種類の薬剤をさらに追加して、second, third screeningを行なっているが、現時点で有意な結果が得られていない。そのため、Wntアンタゴニストを用いたアセチルコリン凝集に対する検討をin vitroにおいて行なってきた。Wntアンタゴニストを用いた実験において、Wnt/βカテニン依存性経路を抑制することが、アセチルコリン受容体の凝集に促進的に働く可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの神経筋接合部再形成促進薬の検討を行ってきたが、既存薬を投与したthird screeniingにおいて、コントロールと比べ有意な結果が得られていない。しかし、in vitroにおいてWntアンタゴニストがアセチルコリン受容体凝集を促進する可能性が示されている。引き続き既存薬の神経筋接合部形成促進作用についての検討もおこないつつ、Wntアンタゴニストの神経筋接合部再形成促進作用についての確認実験を独立先行しておこなっていく。
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Research Products
(5 results)