2015 Fiscal Year Research-status Report
特発性側弯症の病態解明を目的とした骨代謝が骨モデリングへ与える影響に関する研究
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15K10413
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青田 洋一 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40363824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 思春期特発性側弯症 / 骨代謝 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】3週齢の幼弱なC57BL/6J雌マウス30匹を購買・飼育した。3週齢でイソフルラン投与による全身麻酔下に胸郭装具を装着し、1)コントロール群(CON)15匹、2)胸郭装具マウス群(CAGE)15匹の2群に分けた。8週齢にて屠殺し、側弯形成と骨代謝評価を行った。Xpにて胸椎Cobb角を測定した。骨成長評価のため、体重、大腿骨長、大腿骨横径、大腿骨前後径を測定した。血清骨代謝マーカーとしてオステオカルシン、TRAP5bを測定した。屠殺5日前、3日前にテトラサイクリン、カルセインを腹腔内投与し2重標識とした。 海面骨骨形態計測は第6,7,8胸椎にて行った。検体は70%エタノールに固定後、非脱灰標本として連携研究施設で測定を行った。コントロール群と胸郭装具マウス群の2群間比較を行った。また、Cobb角と海面骨骨量(BV/TV)との相関を検査した。 【結果】 CON群とCAGE群の平均Cobb角は0.9±1.1°、30.1±15.5°であった。Cobb角10度以上の側弯を認めたものは0匹/15匹、14匹/15匹であった。体重は18.5±0.8g、15.1±1.0gと有意にCAGE群で減少を認めた(P<0.01)。大腿骨長、大腿骨横径、大腿骨前後径は骨長;14.2±0.3mm vs. 13.7±0.3mm、横径;1.7±0.1mm vs. 1.6±0.1mm、前後径;1.15±0.02mm vs. 1.09±0.06mmでありCAGE群がCONに比べ骨成長が阻害される傾向にあった。血清マーカーは有意にCAGE群が高値を示した(オステオカルシン;4511±825pg/ml vs. 11063±4055pg/ml、TRAP5b;9.1±1.0U/l vs. 11.3±1.4U/l, P<0.05)。海面骨形態計測ではCAGE群がCONに比べ骨構造の脆弱化と高骨代謝回転を示した。(BV/TV;20.2±3.5% vs. 11.3±3.8%,Tb.Th;39.6±4.3um vs. 26.0±2.9um, BFR/BS;0.18±0.03mm3/mm2/year;/mm3mm2/year vs. 0.24±0.03mm3/mm2/year, P<0.05) Cobb角はBV/TVと負の相関を認めた(R=0.67, P<0.05)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
側弯モデルマウスにおける骨成長と骨代謝を行った。 当初の予定通り本モデルは高頻度に側弯が形成され高代謝回転型骨粗鬆の像を呈し、ヒトの思春期特発性側弯症患者と類似するモデルであることを確認できた。 以上の結果より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記のプロトコールを用いて実験を行う。骨粗鬆症薬を投与することで骨量減少の改善と側弯に与える影響を確認する。胸椎海面骨における骨量と側弯の程度が負の相関を認めたことにより、骨粗鬆症薬の効果が期待できると考えている。
【ビスフォスフォネート投与が側弯形成に与える影響についての評価】 3週齢の幼弱なC57BL/6J雌マウス80匹を購買・飼育する。4週齢で4群に分け、1)非装着マウス+生食投与 20匹、2)非装着マウス+ミノドロン酸投与 20匹、3)胸郭装具マウス+生食投与 20匹 、4)胸郭装具マウス+ミノドロン酸投与 20匹の4群に分ける。ミノドロン酸は週一回の皮下投与、0.1mg/kg/週のdoseで行う。8週齢にて側弯形成の頻度、脊椎アライメント変化および海綿骨の骨微細構造評価を行う。また、骨形態計測を用い骨組織の動態を観察する。ビスフォスフォネート投与が側弯形成に対して与える影響について、骨代謝および骨微細構造評価を行い精査する。
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