2016 Fiscal Year Research-status Report
特発性側弯症の病態解明を目的とした骨代謝が骨モデリングへ与える影響に関する研究
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15K10413
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青田 洋一 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (40363824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 思春期特発性側弯症 / マウス / 骨粗鬆症 / 破骨細胞 / ビスフォスフォネート |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、骨減少症と特発性側弯症 (AIS)との関連性が報告され、骨減少症がAIS進行の原因となりうることが示唆されている。本研究の目的はミノドロネート(MIN)が、胸郭抑制(TR)によりヒトAISに酷似した側弯を発生させるマウスモデルにおいて、骨量を改善させることで側弯進行軽減効果があるかどうかを検証する事である。 4週齢のC57BL6J雌マウス計100匹を以下の4群に分けた。 (1) コントロール+生食投与 (CON/VEH, n=20), (2) コントロール+MIN投与 (CON/MIN, n=20), (3) 胸郭抑制+生食投与 (TR/VEH, n=30) , (4) 胸郭抑制+MIN投与 (TR/MIN, n=30)。 MIN(0.01mg/kg/week) および生理食塩水は腹腔内投与とした。TRは 4週齢にて行い、 9週齢で屠殺した。各週の体重、 全脊椎レントゲン画像、大腿骨 BMD、血清代謝マーカーおよび胸椎椎体における骨形態計測を行った。 TR/VEH群において優位に体重減少を認めた。TR/VEH群において、大腿骨BMD低下と胸椎椎体の骨量低下、 骨代謝マーカーの上昇、および胸骨椎体における骨形成速度と破骨細胞面の増加を認めたことから、TR は吸収優位の骨粗鬆症を惹起することが分かった。MIN投与はTRによる体重減少を部分的に改善させ、骨吸収を抑制することで骨脆弱性を改善させた。レントゲン画像においてTR/MIN 群は TR/VEH 群に比べ、Cobb角が- 43%軽減していた (17.9 ± 8.9° vs. 31.5 ± 12.8°; p < 0.001)。 MIN投与はTRマウスにおいて骨粗鬆症を改善させ、側弯軽減効果があった。ミノドロネートはヒトAISにおいても側弯軽減効果が期待できるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に達成すべき内容と平成28年度中に達成すべき内容は、おおむね順調に研究が進展している。 当初の研究計画では初年度と次年度のうちに、(1)胸郭装具マウスにおける骨成長と骨代謝評価、(2)ビスフォスフォネート投与が側弯形成に与える影響についての評価を実施する予定であった。当初は生齢4週~20週までの各週でレントゲン評価を行い、第5,10,15週で骨形態計測および骨代謝マーカー測定を予定していた。しかし、本モデルは胸郭ケージの着脱により容易に呼吸障害による死亡することが判明したため、予備実験において高い側弯再現性を示した9週のみで評価した。 本マウスモデルは偶然にも、破骨細胞優位の骨粗鬆症を呈しており、過去の報告におけるヒトAIS患者における代謝回転に類似するものであった。現段階では生齢9週のワンポイントのみで評価を行っているが、仮説通りビスフォスフォネート投与による側弯軽減効果が得られている。以上より、研究は概ね順調に進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進は、本マウスモデルにおける骨代謝をより深く検討することと、ミノドロネート投与が側弯形成に与える影響について力学的見地からも検討を行う。平成29年度では、平成27年および28年度で得られた知見やこれらの実験結果を追加し、論文としてまとめ、国際会議や学術論文誌で発表する予定である。
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Research Products
(7 results)