2015 Fiscal Year Research-status Report
血小板依存的な骨軟部肉腫の増殖・転移機構の解明と新規治療法の開発
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15K10436
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
市川 二郎 山梨大学, 総合研究部, 助教 (00456469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 血小板 / ポドプラニン / CLEC-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部肉腫領域での化学療法は、この20年間で特段の変化をみない。しかし肺転移が予後因子であるため、骨軟部肉腫の化学療法として、増殖と共に肺転移を抑制する新たな治療法の登場が望まれる。これまでに研究者らは、一部の扁平上皮癌等に発現する膜蛋白ポドプラニンは、血小板活性化受容体 CLEC-2 に結合して血小板凝集を惹起して、血行性転移を促進することを発見した。更に、ヒト骨肉腫細胞の高肺転移株ではポドプラニンが高発現し、また高肺転移株のみが血小板凝集を惹起することを見出した。 H27年度は 1)骨肉腫Podと血小板CLEC-2との凝集の有無の確認を行った。まず、①骨肉腫細胞株とそれ由来の高肺転移株を用いて、それらのPod発現をFACSで比較したがやはり高肺転移株の方がPod発現が高く、洗浄血小板との凝集も確認できた。また、高肺転移株のPod発現をsiRNAにて低下させた株では血小板凝集が見られなくなった。よって、骨肉腫細胞のPodは血小板凝集に重要な役割を担っている。 2) 血小板活性化による骨肉腫の増殖・遊走・EMTへの影響 肉腫細胞Podによる血小板活性化の有無についての検討を行った。高肺転移株とヒト洗浄血小板を15分共培養ののち、遠心して得られた上清中に血小板活性の際に血小板顆粒中に含有するPlatelet Factor-4(PF-4)が特異的に放出されるので、そのPF-4の測定をELISAで測定した。その結果、PF-4の産生が確認された。また、SiRNAでPod発現を抑制した細胞株では産生が低下しており、血小板活性化にPodが必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨肉腫細胞Podの発現と血小板との凝集、活性化において、そのPodが機能的であることが証明された。今後はマウス血小板を使用し、CLEC-2抑制を行った血小板と、正常血小板と骨肉腫細胞間の凝集、活性化の有無を調べて、Pod-CLEC-2の役割を更に明らかにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画どおり遂行されている。今後はマウス実験において、抗体の投与間隔などPreliminaryの実験が必要になると思われる。
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