2016 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍の細胞外マトリックス制御による抗腫瘍薬デリバリー改善の新手法開発
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15K10452
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永野 聡 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50373139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30178371)
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (40423727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨軟部肉腫 / 細胞外マトリックス / 抗癌剤 / デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックス蛋白の制御にアンジオテンシン経路が関与しているという先行研究をもとに、骨軟部肉腫において、アンジオテンシン経路の解析を行った。しかし、アンジオテンシンII刺激によるTSP-1遺伝子の活性化は骨肉腫、軟部肉腫の細胞株では見られなかった。また、コラーゲンIやヒアルロン酸など、細胞外マトリックス分子の変化も、アンジオテンシンII刺激や、ロサルタンによるブロックでも明らかな変化を認めなかった。次に3次元培養による肉腫細胞の細胞外マトリックス分子の変化や、抗がん剤の感受性を解析した。3次元では抗癌剤に対する感受性がやや低い傾向にあったが、さらに解析を進める。 また、動物実験において、アンジオテンシン経路阻害剤のロサルタンの効果を観察したが、病理学的にあきらかなコラーゲンなどの細胞外マトリックスの変化は認めなかった。 そこで、デスモイド線維腫症に効果が報告されているトラニラストの骨軟部肉腫に対する効果、細胞外マトリックス分子や抗がん剤感受性の変化などの解析を行い、一部の肉腫では効果がみられた。これまでの報告で、トラニラストの効果は、細胞周期関連蛋白の発現を増強することが報告されている。本研究でも、トラニラスト処理後のFACSによる細胞周期解析や、p53経路、アポトーシス関連蛋白の解析を行った。また、骨肉腫細胞に対する抗癌剤とトラニラストの併用実験では効果の増強が見られており、臨床的に有用な方法となるか、条件の設定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予測した結果とは異なる結果を認めたが、別の経路、治療薬に着目して興味深い結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外マトリックスを制御する目的で、アンジオテンシン経路に着目したが、実験結果からは肉腫においては重要ではないと考えられた。方針を変更し、トラニラストなどの細胞外マトリックスを制御する別の薬剤を用いて肉腫の新しい治療、薬剤感受性の向上をえられるか解析を続ける。 さらにそのメカニズムとして、細胞周期関連蛋白に着目して予備実験を行っており、今後も解析を推進する。
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Causes of Carryover |
本年度計画した研究遂行に必要な物品等を購入した結果、少額の残額が生じたため、次年度に繰り越して使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に加えて使用する計画とする。少額のため全体の使用計画には影響しないと思われる。
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