2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding molecular mechanism underlying innate immune system escape for metastasis in sarcoma
Project/Area Number |
15K10458
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Research Institution | 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所) |
Principal Investigator |
笹川 覚 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所), 研究所, 部長 (80345115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部腫瘍は、発症例数自体は少ないものの若年齢層に好発し、高頻度に肺転移を生じるために予後不良となるケースが少なくない。骨軟部腫瘍が好発する若年齢層は免疫力が最も高まる時期とも重なることから、骨軟部腫瘍の遠隔臓器転移は何らかのメカニズムで免疫監視機構をエスケープしていると推測される。 本研究では、滑膜肉腫細胞株を用いて、NK細胞によって認識される腫瘍側細胞表面分子MICA/Bに着目して、免疫監視機構をくぐり抜けるメカニズムについて解析を行った。その結果、滑膜肉腫細胞のMICA/B分子はTwist1の発現により発現が抑制されること、低酸素環境下で発現が抑制されること、浮遊培養環境下(疑似CTC環境)で発現が抑制されることを見出した。これらの分子や環境要因は転移との関係が知られており、このことから転移促進はMICA/Bの発現を抑制することで免疫監視をすり抜け、遠隔臓器への転移を成立させていると考えられた。 一方、MICA/Bの発現維持にはN型糖鎖修飾が重要であることがN型糖鎖修飾阻害剤処理実験から明らかとなった。MICA/Bがほとんど検出されない細胞ではMHC-Iの発現も消失しており、この細胞株ではN型糖鎖修飾に関連する分子の発現が低下していることを見出した。MICA/Bの発現を亢進する薬剤として非常に低濃度のHDAC阻害剤が滑膜肉腫細胞に対して有効であることを明らかにしたが、前述のN型糖鎖修飾分子が低下している細胞株ではmRNAの発現量はMICA/Bを安定的に発現させている細胞株と同程度まで上昇することを確認したがタンパク質としては非常に不安定であった。これらの結果から、滑膜肉腫細胞におけるMICA/Bの安定化にはN型糖鎖修飾が必須であり、糖鎖修飾経路の活性が低下することでMICA/Bの発現が消失し、転移促進に寄与していると推測された。
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Research Products
(3 results)