2015 Fiscal Year Research-status Report
変形性関節症におけるEPAの治療薬としての有効性検討
Project/Area Number |
15K10472
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 申也 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (20437487)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EPA / 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト正常軟骨細胞である、NHAC-Kn 細胞を本研究では培養軟骨細胞として使用した。培養軟骨細胞に酸化ストレスである一酸化窒素 (NO)を投与し細胞のアポトーシス、ならびに軟骨基質の分解の抑制効果を検討するためMMP-3, MMP-13, ADAMTS4, ADAMTS5の定量をrealtime-PCR, MMP-3, MMP-13をWestern blot法,さらにアポトーシスをTUNEL染色で検討したところ、アポトーシス、軟骨基質の分解ともにEPAの投与によって抑制された。野生型マウス(C57BL6J)に対して変形性関節症変化(OA)を手術的に起こすDMM (distabilization of medial meniscus) modelを作成し、EPAを週に一度関節内投与する実験系を行ったところ、コントロール群(EPA-)ではmodel作成後8週間で関節症性変化をきたしたが、EPA投与群では関節症性変化を組織学、形態学的に抑制できた。さらにMMP-13, MMP-3などの免疫組織染色で軟骨組織にける発現の抑制がEPA投与群で認められた。軟骨細胞のアポトーシスについても同様の実験系で確認しており、TUNEL染色では、EPA投与群において8週の時点でコントロール群にくらべTUNEL染色陽性細胞の減少を認めた。これらin vivoでの研究結果はin vitroでの実験結果を支持することとなった。以上のように軟骨細胞においてはEPAは酸化ストレスに対して抑制する働きがあり、その酸化ストレス抑制が変形性関節症変化における軟骨細胞のアポトーシス抑制、さらに軟骨組織破壊の抑制につながることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は軟骨細胞におけるEPAの役割を解明することであるが、初年度はin vitroでのEPAの機能を解明することである。この件に関してはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以上in vitroの結果を反映してマウスに変形性関節症モデルを作成し、酸化ストレスの増加を検討した後EPAを関節内投与の投与法を検討することで関節症の進行が予防できるかを検討する。具体的にはEPAを充填した徐放性ゲルを関節内投与することでEPAの投与効率を上昇させることを目的とする。
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Causes of Carryover |
おおむね研究費を予定通り使用したが、次年度マウスの研究をするため相当額必要と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの購入、飼育ならびにEPA等試薬の購入に研究費を相当額要する予定である。
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