2015 Fiscal Year Research-status Report
構造、強度からみた骨粗鬆症評価指標としての骨密度、骨代謝マーカーと、薬物治療効果
Project/Area Number |
15K10480
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬渡 太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (60335974)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症の治療目標をいかに設定するかについて、本研究では、臨床症例の脊椎骨強度と骨微細構造を臨床用CTを用いて評価することで、逆に日常臨床で用いることができるDXAによる骨密度や骨代謝マーカー、FRAXの意義について検討をすすめる。血管石灰化の骨密度測定値や強度への影響や、骨吸収マーカーと骨形成マーカーの意義についても考察する。さらに、骨吸収抑制剤と骨形成促進剤の骨密度・骨強度・骨微細構造への影響についてin vivoで検討を行うことを目標としている。今年度はデータベースを構築しながら解析を開始した。またSubtraction法の精度向上の為にソフトウェアの改良を行った。一方、骨代謝マーカーの意義について、骨吸収抑制剤であるリセドロネート臨床試験のデータを用いて検討した。すなわち、骨代謝マーカーの治療開始前と3ヶ月後の変化と1年後の骨密度上昇の関係、骨代謝マーカーの絶対値が閉経前女性基準値未満か以上かと1年後の骨密度上昇の関係、骨形成マーカーと骨吸収マーカーの挙動の違いについて貴重な結果を得た。結果の一部は、2016年4月にスペインで行われた国際骨粗鬆症会議で報告し、2016年度の日本整形外科学会、日本骨代謝学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨吸収抑制剤であるBisphosphonate、Denosumabによる治療が行われた症例、骨形成促進剤であるTeriparatideによる治療が行われた症例、あるいは無投薬経過観察症例の臨床データについて、DXAによる骨密度、血液尿検査、CTデータからなるデータベースを構築、検討を進めている。骨密度に関しては、従来のL2-4を対象とした腰椎前後像の評価、大腿骨近位部の評価に加え、臨床用CTデータを用いたQCT(定量的CT)法により、第三腰椎全体、および、海綿骨領域のみの骨密度も算出している。血管石灰化がDXAで測定するaBMDへ及ぼす影響の評価のため、CT情報から投影画像の密度情報を計算する手法の確立を目指している。現在のところ、QCTの解析ソフトウェアを利用する手法を検討している。骨代謝マーカーの意義について、前述のように、骨吸収抑制剤であるリセドロネート臨床試験のデータを用いて検討を行い貴重な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
各種解析手法、すなわち、微細構造解析、有限要素解析、Subtraction法について、ソフトウェア及びワークフローの改良をすすめる。その上で、閉経後骨粗鬆症、ステロイド性骨粗鬆症、関節リウマチ患者を対象とし、治療のゴールとなりうる骨強度について、臨床用CTデータを非線形有限要素法で評価し、同時に血管石灰化や3次元的骨密度、さらに骨微細構造、特に骨梁連結性を計測する。これらと日常臨床で計測することができるDXAによる骨密度や骨代謝マーカーを比較し、骨吸収抑制剤と骨形成促進剤の及ぼす影響についてin vivoで検討を行う。さらに前述のCT情報から投影画像の密度情報を計算する手法の確立し、血管石灰化がどの程度骨密度の測定結果に影響を与えるかについても検討する。当初検討を予定していた、カテプシンK阻害薬Odanacatibについては、国内承認の時期を考えると、本研究期間内に研究することは困難となっている。
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Causes of Carryover |
交付決定が年度半ばとなったこともあり、使用計画に遅れが生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画に沿って、次年度以降に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)