2015 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの遺伝的リスクスコア解析による関節破壊予測
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15K10496
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
桃原 茂樹 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00190984)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はゲノムワイド関連解析のメタ解析によって同定された関節リウマチ(RA)における101個の疾患感受性遺伝子が疾患の重症化に影響を及ぼしているかどうかを遺伝的リスクスコアを用いて解析するものである。RA重症化の指標としては骨関節破壊の直接評価法であるX線スコア(Sharp/ van der Heijde score)を使用した。これは手足の各関節における骨びらんと関節裂隙狭小化を評価するもので、現在RA患者における骨関節破壊の評価法としては多くの研究で標準的に利用されている。開発者に直接読影法の指導を受けた熟練した整形外科専門医が読影を行い、DNA試料を保有する患者の内、現在1,042名が発症より5年時のX線スコアデータを保有している。遺伝的リスクスコアに用いる候補遺伝子として国際共同研究によるGWASのメタ解析(Okada Y, et al. Nature 2014)によって同定されたRAの101個の疾患感受性遺伝子を用いた。解析対象患者全例においてそれら遺伝子多型情報の同定を行う。ゲノタイピングには多検体同時タイピングに適したTaqMan法を使用して行った。重症化指標であるRA発症5年時のX線スコアを従属変数とし、各SNPにおけるリスクアレル数を説明変数とした回帰分析を行った。調節因子として年齢、性別、抗CCP抗体価を加えた重回帰分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した内容はほぼ達成している。大きな研究の遅れはなく、平成28年度も計画通りに進行することが見込まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
関連を認めたSNPについては周辺のゲノム構造解析を行い、有意な関連を認めるハプロタイプブロックを決定する。決定されたハプロタイプブロック内のエクソン領域およびプロモーター領域についてはリシーケンスを行い、より関連の強いSNPや機能的SNPの探索を行う。機能的SNPについては機能解析を行うことで評価する。その際の手法としては得られたSNPの予想機能にもよるが、発現解析やルシフェラーゼアッセイによるプロモーター活性評価、ゲルシフトアッセイによる転写因子のDNA結合能の検討などが考慮される。当施設は国内最大の関節リウマチ手術件数を誇り、これまでに800名以上の患者の手術時摘出組織由来の軟骨および滑膜のRNAをライブラリー化しており、また培養細胞としても保存している。これらを利用し、当該遺伝子の発現解析を行う。また細胞への当該遺伝子導入や遺伝子発現抑制実験によってその機能解析を行うことも可能である。
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