2016 Fiscal Year Research-status Report
半月板損傷におけるヘパラン硫酸およびその酵素の働きと新規治療法の開発
Project/Area Number |
15K10498
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大槻 周平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20589840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根尾 昌志 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80311736)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半月板 / ヘパラン硫酸 / Sulf |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:半月板は膝関節における衝撃吸収と安定性の役割を持つ重要な組織である。日本における半月板損傷に対する手術治療は、年間約3万件行われており、現在も増加傾向である。本邦における手術方法は縫合か切除の2種類のみで、その9割は切除術が行われている。ヘパラン硫酸は細胞表面に多く存在し、様々なシグナル伝達の調整を行なっている。ヘパラン硫酸6-O脱硫酸酵素(Sulf)が軟骨変性に関わっていることはすでに我々は報告しているが、半月板の変性メカニズムについて明らかではない。 研究実施計画:まず、人工関節手術患者から採取したヒト半月板を用いてSuf発現の評価を行なった。その結果、Sulfは半月板の変性領域及び関節包側に高発現していることがわかった。これらの変化が加齢によるものか、変性によるものか検討を深めるため、野生型マウス(C57BL6)を用いた加齢変化の検討を行なった。その結果、半月板におけるSulf発現は、出生後間もなくから3ヶ月齢までは全体的に高発現が見られたが、その後半月板実質部から徐々に発現が減少していき6ヶ月齢、では表層細胞が染色されているのみの変化となった。Sulfの半月板における発現の変化は変性による発現だけでなく半月板成熟に対するSulfの役割も示唆された。今後は、これまで報告されているようなシグナルとの関連性などを中心に引き続き、高齢のマウス膝関節まで検討を深めていく予定である。また、Sulfノックアウトマウスの変性についてもサフラニンO染色などでスコアリングしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト組織での半月板研究、マウスを用いた加齢による検討、そしてSulfノックアウトマウスを用いた検討を進めている。必要な組織採取はほぼ終わったので、今後はそれらの解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色を中心として検討を行なっていき、半月板変性のメカニズムを探っていく予定である。すでに臨床応用されている薬剤などの半月板編成に対する新規利用の可能性なども視野に入れ検討していければと考えている。
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