2015 Fiscal Year Research-status Report
急性・慢性疼痛ストレスに対する生体防御逃避行動の分子基盤
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15K10500
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大西 英生 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20279342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TRPV1 / TRPV4 / ノックアウトマウス / ホルマリン / 4α-PDD / Fos / 視床下部 / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度 (平成 27 年度) は、TRPV1 およびTRPV4 ノックアウトマウスを用いて急性炎症疼痛刺激後の行動学的変化と中枢神経系の変化を観察した。 成熟雄性の野生型マウス、TRPV1 およびTRPV4 ノックアウトマウスの片側後肢足底に、急性炎症疼痛刺激としてホルマリンもしくは TRPV4 アゴニストの 4α-PDD を皮下注射し、注射後 0-10 分 (phaseⅠ) (ホルマリンによる直接の化学刺激による反応) および 10-60 分 (phaseⅡ) (炎症性メディエーターの遊離による感覚神経の刺激) における生体防御行動を計測した。また、注射後 90 分で灌流固定を行い、脊髄後角および視床下部室傍核 (PVN) における Fos タンパクの発現を免疫組織化学的染色法を用いて調べた。生体防御行動は、ホルマリン群の phaseⅠ で TRPV1 および TRPV4 ノックアウトマウスが、phaseⅡ で TRPV1 ノックアウトマウスが野生型マウスと比較して有意に減少した。4α-PDD 群は、いずれのマウスも有意差を認めなかった。Fos 陽性細胞数は、ホルマリン群の脊髄後角においては、いずれのマウスも有意差を認めず、PVN においては TRPV1 ノックアウトマウスが野生型マウスと比較して有意に減少した。4α-PDD 群の脊髄後角においては、TRPV4 ノックアウトマウスは野生型マウスと比較して有意に減少したが、PVN においては、いずれのマウスも有意差を認めなかった。以上より、ホルマリンによる直接の化学刺激の受容には TRPV1 および TRPV4 が、炎症性メディエーターを介した疼痛受容には TRPV1 が、4α-PDD による疼痛受容には TRPV4 が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画初年度 (平成 27 年度) は、TRPV1 およびTRPV4 ノックアウトマウスを用いて急性炎症疼痛刺激後の行動学的変化と中枢神経系の変化を観察した。これにより、ホルマリンによる直接の化学刺激の受容には TRPV1 および TRPV4 が、炎症性メディエーターを介した疼痛受容には TRPV1 が、4α-PDD による疼痛受容には TRPV4 が関与していることが示唆された。しかし、当初計画していた、TRPV1・V4 ダブルノックアウトマウスを用いた急性炎症疼痛刺激後の行動学的変化と中枢神経系の変化の観察に関しては、TRPV1・V4 ダブルノックアウトマウスの作出に成功しているものの、繁殖に時間を要するために実験に必要な個体数を得ることができず、現時点では実験に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度 (平成 28 年度) においては、TRPV1・V4 ダブルノックアウトマウスを用いた急性炎症疼痛刺激後の行動学的変化と中枢神経系の変化の観察を行う予定である。具体的には、成熟雄性の野生型マウスおよびTRPV1・V4 ダブルノックアウトマウスの片側後肢足底に、急性炎症疼痛刺激としてホルマリンもしくは TRPV4 アゴニストの 4α-PDD を皮下注射し、注射後 0-10 分 (phaseⅠ) および 10-60 分 (phaseⅡ) における生体防御行動を計測することと、注射後 90 分での脊髄後角および視床下部室傍核における Fos タンパクおよび c-fos mRNA の発現を免疫組織化学的染色法および in situ ハイブリダイゼーション法を用いて調べることを予定している。また、成熟雄性の野生型マウス、TRPV1 ノックアウトマウス、TRPV4 ノックアウトマウス、TRPV1・V4 ダブルノックアウトマウスを用いて慢性関節炎モデルであるコラーゲン抗体関節炎モデルを作成し、脊髄後角および視床下部室傍核における Fos タンパクおよび c-fos mRNA の発現を免疫組織化学的染色法および in situ ハイブリダイゼーション法を用いて調べることを予定している。 本研究の成果は、日本生理学会、日本整形外科学会などの国内学会や国際学会に積極的に発表し、国際専門誌に英文論文として発表する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Fluorescent visualisation of oxytocin in the hypothalamo-neurohypophysial/-spinal pathways after chronic inflammation in oxytocin-monmeric red fluorescent protein 1 transgenic rats.2015
Author(s)
Matsuura, T. Kawasaki, M . Hashimoto, H. Ishikura, T. Yoshimura, M. Ohkubo, JI. Maruyama, T. Motojima, Y. Sabanai, K. Mori, T. Ohnishi, H. Sakai, A. & Ueta, Y.
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Journal Title
Journal of Neuroendocrinology
Volume: 27(7)
Pages: 636-646
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Possible involvement of TRPV1 and TRPV4 in nociceptive stimulation-induced nocifensive behavior and neuroendocrine response in mice.2015
Author(s)
Ishikura, T. Suzuki, H. Shoguchi, K. Koreeda, Y. Aritomi, T. Matsuura, T. Yoshimura, M. Ohkubo, JI. Maruyama, T. Kawasaki, M. Ohnishi, H. Sakai, A. Mizuki, M. & Ueta, Y.
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Journal Title
Brain Rsearch Bulletin
Volume: 118
Pages: 7-16
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Possible involvement of the rat hypothalamo-neurohypophysial /spinal oxytocinergic pathways in acute nociceptive responses2016
Author(s)
Matsuura, T. Motojima, Y. Yoshimura, M. Saito, R. Ueno, H. Maruyama, T. Hashimoto, H. Kawasaki, M. Ishikura, T. Ohnishi, H. Onaka, T. Sakai, A. & Ueta, Y.
Organizer
Interdisciplinary of Medical, Dental and Soft-material Researches on the move -Showcase Review in Kitakyushu-
Place of Presentation
西日本国際会議場(北九州市)
Year and Date
2016-01-22 – 2016-01-23
Int'l Joint Research
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[Presentation] Possible involvements of TRPV1 and TRPV4 in neuroendocrine response and drinking behavior2015
Author(s)
Ueta, Y. Matsuura, T. MOtojima, Y. Yoshimura, M. Shoguchi, K. Maruyama, T. Hashimoto, H. Ishikura, T. Kawasaki, M. Ohnishi, H. & Sakai, A.
Organizer
The 13th International Symposium on Molecular and Neural Machanisms of Taste and Olfactory Perception
Place of Presentation
九州大学(福岡市)
Year and Date
2015-11-03 – 2015-11-04
Int'l Joint Research
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[Presentation] Effects of osmotic and non-osmotic stimuli on drinking behavior in TRPV1 and TRPV4 knockout mice2015
Author(s)
Ueta, Y. Matsuura, T. Motojima, Y. Yoshimura, M. Shoguchi, K. Maruyama, T. Hashimoto, H. Kawasaki, M. Ohnishi, H. & Sakai, A.
Organizer
International Behavioral Neuroscience Society
Place of Presentation
Victoria, Canada
Year and Date
2015-06-02 – 2015-06-07
Int'l Joint Research
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