2016 Fiscal Year Research-status Report
発達期脳に対して吸入麻酔薬が及ぼす毒性の原因と対策
Project/Area Number |
15K10504
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
合谷木 徹 秋田大学, 医学部, 講師 (30302277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 哲 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00312702)
西川 俊昭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50156048)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プレコンディショニング / 麻酔薬毒性 / 幼若脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼若脳に対する麻酔薬暴露により、成長後の脳の変性や学習機能障害が起きることが示唆されているが、詳細な原因や防止策は不明である。麻酔薬暴露前に与えられた種々の薬物や状況(プレコンディショニング、PC)が、その後の麻酔薬暴露による神経変性に影響を与えるのかも詳細は未だ不明である。このため、本研究では、生後7日目のラットへセボフルラン暴露によるその後の影響がPCにより長期的な組織学的変化と学習機能へ及ぼす効果を検討する。 生後6日のラットを、クリアアクリルボックス内で1時間暴露、30分空気に戻して、再度1時間暴露後に母親のケ-ジに再度戻す。グループを下記の4群に分けた:PC(10%O2:酸素10%)、PC(Sevo:セボフルラン2%+酸素30%)、PC(none)、コントロール。コントロール群以外には生後7日目にセボフルラン3%と酸素30%で4時間吸入させた。コントロール群はPCと7日目の暴露を酸素30%のみで行った。暴露5週目にフィアコンディショニングテスト、6週目に8方向性迷路を4日間行い、評価後、脳を採取してNeuN染色を行い海馬CA1の正常細胞数を計測した。 フィアコンディショニングテストでは、いずれの群でも差が見られなかったが、8方向性迷路の遂行時間と正選択率はPC(10%O2)群でコントロール群と同程度になった。海馬CA1の正常細胞数は、コントール群が多く、次いでPC(10%O2)群、その後にPC(Sevo)とPC(none)になった。 この実験結果により、低酸素によるプレコンディショニングはその後のセボフルラン暴露による認知機能への影響を変化させることが示唆された。このことは、幼若脳への麻酔薬暴露による神経変性を、プレコンディショニングは改善する可能性を示し、麻酔薬の毒性を減弱させる方法の1つとし利用できる可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験施設の感染による利用の長期的な中断のため、当初の計画の用量反応を検討するところは実験を遂行できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
プレコンディショニングの種類によるプレコンディショニングの影響を検討する必要がある。今後は、数種類のプレコンディショニングの影響を検討し、併せて、容量やタイミングの検討を検討していく。また、暴露後のさらに長期的な変化を検討するため、学習機能と組織学的変化を検討していく。
|
Causes of Carryover |
実験施設利用不可の時期が生じたため、実験中断が生じ、実験費用が減少したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に昨年分の実験が追加されるため、実験費用を上乗せして当初の計画通りに使用する。
|