2017 Fiscal Year Research-status Report
局所麻酔薬の神経毒性のメカニズム:ナノ磁性体を用いた探索研究
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15K10508
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
石田 高志 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60531952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 局所麻酔薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
リドカインの毒性に関与する受容体を探索することを目的とし、リドカインに特異的に結合する蛋白質を探索するためにリドカインに磁性ビーズを結合させた化合物を作成した。リドカインの非活性部位にフェノール基を結合させた化合物を作成し、磁性ビーズを固定化させたリドカイン固定化ビーズを作成した。リドカイン固定化ビーズとHeLa細胞の破砕液を反応させ化合物と特異的に結合する蛋白の探索を行った。その結果、化合物の上昇させると結合するタンパクを検出することができた。リドカインを用いた特異的溶出や特異的阻害実験を行っても結合するタンパクに変化はなく、非特異的な結合によるタンパクを検出していた可能性が考えられた。より特異的なタンパクを検出するために化合物の濃度の調製、結合時間の調整、反応させるタンパク質の調整を行ったが、特異的な結合を認めるタンパクの検出には至っていない。今後、リドカインと特異的な結合を認めるタンパクを探索するために、結合条件の更なる調整を行っていく予定としている。 以上の結果から、局所麻酔薬による細胞毒性(アポトーシスの誘導)はリドカインに特異的に結合するタンパク(受容体、チャネル)を介しては起こらず非特異的な結合により起こる可能性が考えられた。そのため、局所麻酔薬による毒性は比較的高濃度の薬剤を用いたときに見られると考えられる。また、磁性ビーズの結合部位が非活性化部位であることから、非活性部位が毒性に影響している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
リドカイン固定化磁性ビーズを用いて特異的な結合を認めるタンパクの探索を行っているが、タンパクの結合を認めるもののいずれも非特異的な結合によるものであると考えられた。リドカインと特異的な結合を認めるタンパクを同定できていないため、拮抗薬を用いた毒性の抑制やKOマウスを用いた毒性の変化を調べる研究は行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、リドカイン固定化ビーズとの特異的な結合を認めるタンパクの探索を更に行っていく。今まで、HeLa細胞を用いてたので今後は他の細胞腫を用いて特異的な結合を認めるタンパクの同定を行っていく。 また、ビーズ固定化による毒性の変化を再度評価するためにリドカイン固定化ビーズを用いて毒性評価を行う。毒性に変化が見られる場合は、固定化部位を変更し新たに化合物を作成し、特異的な結合を認めるタンパクの探索を行っていく。
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Causes of Carryover |
特異的に結合するタンパクを同定できず、毒性阻害実験が行えていないため。再度結合条件の見直しと毒性を評価する。
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Research Products
(3 results)