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2017 Fiscal Year Research-status Report

脳死関連肺障害の病態解明と予防・治療法の開発-特にNPYとVEGFと関連して

Research Project

Project/Area Number 15K10510
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

西脇 公俊  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10189326)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords細胞透過性 / 神経原生肺水腫 / 神経ペプチドY / ヒト正常肺微小血管内皮細胞 / ヒト気管支上皮細胞株
Outline of Annual Research Achievements

我々は、ラット神経付き肺潅流標本およびラットフィブリン誘発神経原性肺水腫モデルを用いた検討において、肺交感神経終末でカテコールアミンと共存する神経ペプチドY(NPY)による神経性調節が細胞透過性に関与することを明らかにしてきた。しかしながら、NPYの作用機序や一般的な肺水腫との関連については未だ不明なままである。本研究は、in vitro肺細胞透過性評価系を構築し、NPYの作用機序を細胞レベルで明らかにすることを目的としている。
我々はこれまでに、肺動脈血管内皮細胞(HPAEC)を用い、薬物等による細胞透過性亢進作用を評価するin vitroアッセイ系を確立し、NPYの作用を検討してきた。しかしながら、NPYはこの系で細胞透過性亢進作用を示さず、ノルアドレナリンやアドレナリンとの共存下においてもその作用は認められなかった。本年度は、in vitroアッセイ系をより実際の肺環境に近いものとするために、ヒト正常肺微小血管内皮細胞(HMVEC-L)とヒト気管支上皮細胞株(Calu-3)を使用することによるアッセイ系の改良を試みた。さらに、これらアッセイ系確立後のNPY評価に先立ち、2つの細胞におけるNPY受容体の発現の有無を蛋白質レベルで解析した。
HMVEC-LおよびCalu-3で作製した2つのin vitro細胞透過性アッセイ系において、陽性対照となりうるLipopolysaccharide(LPS)の有意な細胞透過性亢進作用を確認した。そのLPSの作用濃度は、HMVEC-L系では100 ng/mlであったのに対し、Calu-3系では5 μg/ml以上であった。また、両細胞ともにNPY Y1受容体を発現していることを確認したが、Calu-3における発現量はHMVEC-Lに比べ、極めて少なかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

我々が確立していたHPAECを用いたin vitroアッセイ系において、細胞透過性亢進作用を有すると推定していたNPYは、通常の培養条件のみならず、低酸素やカテコールアミンとの併用下など、実際の病態を考慮した培養条件下でも全く作用を示さなかった。そこで、NPYの作用メカニズムを解明するための研究計画を考え直し、より実際の肺環境に近い改良型のアッセイ系を確立し、評価を行うことにした。アッセイ系再構築では、これまで使用してきた血管内皮細胞の種類を変更する系の他に、肺実質側における細胞透過性を考慮したアッセイ系を作製することにした。これら2つのアッセイ系構築に時間を要したため進捗はやや遅れてはいるが、今年度に得られた結果から、アッセイ系はほぼ確立できた考えている。また、両細胞でのNPY受容体発現確認により、新たな系でNPYの作用を評価することも妥当であると思っている。
上記に加え、当初の優先検討課題であった「脳死モデルでの神経原生肺水腫に関わるneuropeptidesの同定とVEGFの関与」についても研究を進めている。現在は、マウス脳死モデル確立に向け、モデル作製方法、肺水腫評価法、および肺水腫液と血清中の蛋白質比測定法の検討を行っている状態にある。

Strategy for Future Research Activity

In vivoの検討として、HMVEC-LおよびCalu-3を用いた細胞透過性アッセイ系を用いて、NPY単独もしくはカテコールアミン共存下での細胞透過性亢進作用の有無を調べる。また、LPSや血管内皮細胞成長因子により誘発される細胞透過性亢進に対するNPYの作用の有無についても検討する。いずれかの条件でNPYに明らかな作用が認められた場合は、細胞内シグナル阻害剤を用い、細胞透過性に関与する分子メカニズムの解明を進める。さらに、2つの細胞透過性アッセイ系を利用し、細胞透過性に関与する麻酔領域関連薬剤の有無を調査する。
また、in vivoの検討課題「脳死モデルでの神経原生肺水腫に関わるneuropeptidesの同定とVEGFの関与」では、マウス脳死モデルの早期の確立を目指す。具体的には、マウス頭蓋内に血栓除去用カテーテルを挿入し、バルーンを用いて頭蓋内圧を上昇させ、脳幹部にヘルニアを起こすことにより脳死モデルを作製する。モデル確立後には、脳死誘発直後から6時間後まで経時的に血液を採取し、血液ガス分析による肺障害の重症度解析を行うとともに、NPYを含めた神経ペプチド含量の測定を行う。その後、マウスの気管支肺胞洗浄を行ない、肺を摘出する。肺のWet/Dry Ratio、肺組織中の神経ペプチド含量の測定を行い、肺水腫発生と神経ペプチドとの関連を探る。その他、脳死誘発肺障害を緩和できるような薬剤の探索も行う。

Causes of Carryover

研究期間の延長申請に伴い、次年度使用額として助成金を残した。
次年度には印刷費として使用する予定である。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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