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2016 Fiscal Year Research-status Report

光学異性ブピバカインのチャネル結合と開閉動態の解明 -局麻中毒治療の新戦略-

Research Project

Project/Area Number 15K10511
Research InstitutionShiga University of Medical Science

Principal Investigator

瀬戸 倫義  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10335177)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 加藤 稔  立命館大学, 生命科学部, 教授 (00241258)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsbupivacaine / enantiomer / KcsA(E71A) / conductance / mean open time
Outline of Annual Research Achievements

局所麻酔薬の重篤な副作用-心毒性・循環虚脱は心筋カリウムチャネルの抑制が関与する。KcsAカリウムチャネルをモデルに用いて、高濃度中毒域におけるチャネル開閉動態の抑制メカニズムを解明した。ドッキング計算から対掌体ブピバカインの結合様式を求め、ブピバカイン結合による開閉動態修飾を説明し、「なぜ、(S)-ブピバカインは(R)-に比べて循環虚脱を起こしにくいのか?」という問題を解明した。
1分子KcsA電流計測からKcsAの開閉を測定した。ラセミブピバカインを加え、振幅解析、開閉遷移解析を行った。ブピバカインは濃度依存性にコンダクタンスを漸減し、平均開時間を減少させた。平均閉時間は一定値にとどまり濃度依存性しなかった。ブピバカイン結合によって開状態が短くなる、すなわち開状態の不安定化を起こすことでチャネル抑制が起こっていることをつきとめた。
開状態のKcsAドッキング計算によりブピバカインは1)イオン伝導路 2)Cytoplasmic Domain(CPD) Bulge 3)CPD endに結合することが判明した。イオン伝導路への結合は、伝導路の閉塞をもたらすことから、コンダクタンスの漸減を説明することができる。また、イオン伝導路の結合部位ではブピバカインの不斉炭素に結合するHがVal106に配位することが判明し、106バリンが対掌体を識別していることが判明した。
開状態にブピバカイン結合し伝導路をふさぐことから、結合により平均開時間の減少を説明することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

KcsA(E71A)に特徴的なチャネルモードHigh Po mode, Flicker mode, Low Po modeが存在し、KcsA/POPG/POPE膜の再構成ごとに異なるmodeが生じ、時間とともにもmodeが変化する。注意深く観察すると膜の膜被薄化に伴ってmodeが移る。再現性をもってブピバカインの効果を見るためには一定のmodeの下に計測を行う必要があり、ブピバカイン濃度変化をさせる間modeが安定している必要がある。測定結果をもとに福井大学分子生理学 老木教授に助言をもとめた。隔膜の穴sを小さくし、プレコーティングを行い、膜の膜被薄化速度を緩め、mode変化が起こらない条件を探ることが必要との指摘を受けた。28年度は膜被薄化プロセスの安定化条件を試行錯誤した。複数のチャネルを示唆する計測がみられることから、チャネル濃度を薄くする必要があるとの示唆を得た。

Strategy for Future Research Activity

菲薄化速度をコントロールし、チャネル濃度を薄くKcsa膜再構成してHigh Po modeで計測を行う。この測定条件のもとに、(R)-ブピバカイン、(S)-ブピバカインを加え、コンダクタンス、平均開時間、平均閉時間を求める。光学異性麻酔薬によるコンダクタンス変化に光学異性差がある場合は、R体、S体によって麻酔薬の結合部位が異なることを示唆する。コンダクタンスの濃度依存性から麻酔薬結合による開口大きさがどのように変化するかを解析する。また、開閉動態解析 開閉の遷移速度定数からR体、S体による作用が開閉素過程のいずれに、どのような修飾作用を及ぼすのかを明らかにし、ドッキング計算による(R)-ブピバカイン、(S)-ブピバカインの結合様式を背景にチャネル開閉における(R)-, (S)-ブピバカインのチャネル開閉修飾メカニズムについて解析し、。「なぜ、(S)-ブピバカインは(R)-に比べて循環虚脱を起こしにくいのか?」という問題に答えを得る。

Causes of Carryover

電気生理実験でチャネルモードの安定性を得る試行錯誤を重ねたことから、計算ワークステーションの整備が遅れたため。2017年1月から計算ワークステーションの更新、ソフトウエアMOE2016.0802の更新、計算ソフトライセンスの更新(2017年2月)と整備を進行中である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

対掌体ブピバカインでのドッキング計算と解析に向けてワークステーションの改良のための費用(CPU強化、SAS-SSD化、バックアップ電源、分子の3D表示)、論文投稿への支出を計画している。また、国際学会発表を含む旅費への支出も計画している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ブピバカインのKcsAチャネル結合部位と開閉動態修飾について―局所麻酔薬の心毒性の解明へ―2016

    • Author(s)
      瀬戸倫義
    • Organizer
      日本麻酔科学会 第63回学術集会
    • Place of Presentation
      福岡市
    • Year and Date
      2016-05-26 – 2016-05-28

URL: 

Published: 2018-01-16  

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