2016 Fiscal Year Research-status Report
高血糖が吸入麻酔薬およびGLP-1受容体の心筋保護相互作用に及ぼす影響
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15K10513
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
酒井 陽子 徳島大学, 病院, 講師 (90711862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30263841)
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90523499)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インクレチン / 心筋梗塞サイズ / 低酸素 / イソフルラン |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスを人工呼吸下に開胸、血行動態を測定しながら、GLP-1・APC (イソフルラン1.0 MAC30分間) 刺激を行う。その後、心臓冠動脈を30分間閉塞し、2時間の再灌流を行った。再び冠動脈を閉塞、Evans Blueを注入し心臓を取り出した。心臓をスライスし、再染色後心筋梗塞サイズを測定すると両群の心筋梗塞サイズが、コントロール群(プレコンディショニング刺激を何も加えていない虚血再灌流のみのマウス)に比べ縮小していた。次に、グルコースを静注することで高血糖マウスモデルを作成し、上記の各群に対してin vivo マウス虚血再灌流実験を行い、心筋梗塞サイズを比較検討すると、コントロール群においては心筋梗塞サイズに変化はなかったが、GLP-1・APCのプレコンディショニングを行った群においては心筋保護作用が棄却された。 In vitro実験では、遊離心室筋細胞を用い低酸素実験を行った。方法は、通常培養液(グルコース濃度 5.5 mmol/L)を「グルコースなし」のものに置き換え、特殊チャンバーを用い、1時間低酸素状況 (95%N2, 5%CO2) に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだし、その後1時間通常の培養状態に戻すことで再灌流状態とすることができる。細胞をトリパンブルー染色することで死亡細胞と正常細胞を区別し、生存率を割り出す。GLP-1およびイソフルランにてプレコンディショニングを行うと心筋保護作用を有し、細胞の生存率を上げた。しかしながら、高グルコース濃度培養液に一旦インキュベートすると、これらの作用は棄却された。 これらのin vivoおよびin vitro実験から、高血糖は吸入麻酔薬やGLP-1によるプレコンディショニング作用に影響し、心筋保護作用を増悪させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」通りに進捗しているため。 つまり、GLP-1やイソフルランによるプレコンディショニング心筋保護作用が、高血糖の状況に置かれることによって棄却されたため。また、この作用がin vivo実験とin vitro実験ともに確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に引き続き、in vivoの高血糖マウスを用いた虚血再灌流実験を行う。さらにそれとともに、高血糖マウスモデルに対し、インスリンを用いることで血糖値を下げることで、その後の各群に対してin vivo マウス虚血再灌流実験を行い、心筋梗塞サイズを比較検討する。このことで血糖コントロールが心筋保護作用にどのように影響を与えるかを明らかにする。
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Research Products
(5 results)