2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10531
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 妙子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40228911)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 術後認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に適した術後疼痛モデルの作成が平成28年度の主たる目標であることから、以下の2点を中心に研究を行った。 ① ラットの手術方法の工夫:単純な開腹手術では若年ラットに認知機能障害は出現しなかったため、数編の論文(Anesthesiology2004;101:191-203, Exp Ther Med 2015;9:982-6)を基に、腸管の操作を加えるとともにリポポリサッカロイドを使用することとした。リポポリサッカロイドの投与量についても検討したが、0.1mg/kg程度が適当との結果であった。 ② 認知能力の測定方法(訓練方法)の工夫:若年ラットに通常どおりの訓練を行うと全く認知機能障害を検出できないため、訓練回数を減らして検査することとした。 また、認知能力以外の行動観察を可能にするために、オープンフィールドや新規物体認識テストに合わせたビデオトラッキングシステムの設定を行った。さらに、ストレス及びオランザピン投与は血糖値を上昇させることが知られているので、血糖値測定も可能となるよう測定キットを準備した。 発熱やオープンフィールドでの行動観察では良好なモデルができていると判断されるが、モーリスの水迷路は強制力が強いためか訓練回数を減らしても認知機能障害を検出しにくいことが判明した。新規物体認識テストについては、まだ測定回数が少なくはっきりした結果がでていない。腸の操作とリポポリサッカロイドの投与は血糖値を上昇させることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
① 認知機能障害の測定方法:モーリスの水迷路は再現性の高い優れた記憶能力測定法であるが、それ故にわずかな認知障害の場合にはそれを検知しにくい。また、訓練に日数がかかる上に1回に訓練できるラットの数に限界があって、測定結果を得るのに時間がかかっている。さらに、島のある近傍領域でラットを入水させた場合全くの偶然でゴールすることがあるため、途中からプローベテストを行ったのでさらに多くの時間を要することとなった。 ② 開腹手術モデル:若年ラットを使用しているせいもあって、回復力が高く認知機能障害が検出されにくい。リポポリサッカロイドの投与量設定などに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
① 認知機能測定:モーリスの水迷路よりも強制力の少ないバーンズ迷路の使用を検討している。また、その際の環境整備を入念に行い匂いや視覚的な目印を最小限に抑えて観察することとする。同時に新規物体認識テストの測定方法に習熟して、複数の記憶能力測定を行い、結果の精度を上げていく。 ② 対象動物:どうしても若年ラットで思うように認知機能障害が発生しないようであれば、ラットの週齢を上げる予定である。 ③ 手術と認知機能測定のスケジュール:手術と認知機能測定の間隔を再検討し、より認知機能障害の発生しやすいタイミングに認知機能測定を行うよう工夫する。 ④ 海馬の神経変化の確認:もし、ある程度の認知機能障害が確認できるモデル作成が成功した場合は、最終年度になる前に海馬の神経変化(活動グリア等)を免疫組織染色法を用いて確認しておく。
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