2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10531
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 妙子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40228911)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 術後認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度後半から平成28年度にかけて水迷路を使用した術後認知障害モデルの作成を開始したが、強制力の強い試験方法であったため僅かな認知能力の障害を検出することができず方法の変更を余儀なくされた。平成29年度には、ラットの週齢を上げるとともに、水迷路からバーンズ迷路に変更し、さらに開腹手術に加えてリポポリサッカロイド(0.1 mg/kg)の投与を追加して術後認知障害モデルの作成に取り組んだ。修正の結果、対照群に比べて有意に術後認知障害が捕らえられたので、平成30年度からは、対照群(生理食塩水投与群)とオランザピン低用量群(1 mg/kg ip)とオランザピン高用量群(10 mg/kg ip)で比較検討を行なうこととしたが、高用量群で死亡率が高かったので、低用量群と対m照群の比較に変更した。実験は比較的順調に行なうことができたが、動物数を増やすにつれ明確な認知機能の変化を捉えられなくなった。ラットの週齢を上げ同時にリポポリサッカロイド投与を行ったことによって致死率が上昇し比較的頑健な個体のみが研究対象になったことが原因と考えられた。 平成30年度には、海馬の神経活動測定についても検討した。当初予定していたArc cat FISH法による活動測定は、適当なプローブが入手できなかったので、Iba-1を使用した免疫組織染色によるミクログリアの形態変化による測定に切り替えた。ナイーブ群、開腹手術+リポポリサッカロイド投与群と開腹手術+リポポリサッカロイド+オランザピン低用量群の3群を作成し、海馬におけるミクログリアの状態について検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・開腹手術とリポポリサッカロイドの組み合わせの侵襲が大きく死亡率が高いため認知機能の測定にまで至らないことが多かった。 ・開腹手術から認知機能測定までの期間が2週間と長いので、頑健な個体のみが測定対象となり、また、同時に神経炎症が起きても測定までには回復しているせいか対照群と比較して明確な差がでにくかった。 ・海馬の神経細胞活動の測定方法を決定するまでに試行錯誤があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までの遅れを取り戻すために以下の方策をとることとする。 ・開腹手術に加えて行なうリポポリサッカロイドの投与量を減量して、致死率低下を図る。 ・開腹手術から認知機能測定までの期間を短縮するために、予めバーンズの訓練を実施し、開腹手術翌日にオープンフィールドとバーンズ迷路(認知機能)測定を実施する。
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Causes of Carryover |
作成した術後認知症モデルの致死率が高く、想定より物品費が少なくなった。しかし、今年度は使用するリポポリサッカロイドの量を調節し、認知機能測定を早期に行なうことでスケジュールの短縮を図る予定であるので、物品費の増加や研究をまとめるための英文校正費・学会発表費などが必要になる見込みである。
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