2016 Fiscal Year Research-status Report
造影剤腎症発生メカニズムおよび術中血液濾過透析の治療効果の検討
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15K10536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 晶カール 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70432490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 直也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00372623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 循環器 / 高血圧 / 生体分子 / 生理学 / 内科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎機能低下患者の血管内治療後の造影剤腎症の発症機序の解明が目的である。本年度は1)腎機能の評価方法の再検討、2)検査に必要な機材の調達と人員配置調整のために当てられた。1)当院での事前調査の結果、腎機能評価方法の変更が必要であった。造影剤腎症評価方法は、前年度の方針として「72時間以内の血清クレアチンレベルの25%上昇または0.5mg/dL以上の増加」と定めたがこの基準では腎機能障害が高度に生じた場合のみ有意となる。現状では腎機能低下者への造影剤投与は可能な限り少量に控えることが一般化しており従来の診断基準では造影剤腎症の発症率が非常に低い状況にあることが分かった。造影剤腎症の発症率が低いことから前向き試験に必要な症例数が膨大なサンプル数となり本研究を期間内に終了することが困難であることが明らかとなった。そこで腎障害をより鋭敏に評価する生体バイオマーカー検査として近年尿中neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)と尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク(L-FABP)が報告されており軽度な腎障害でも計測が可能なバイオマーカーとして昨年保険収載されている。腎機能障害の定量的測定ができ障害の程度を数値化できることから統計的な検定において必要な症例数を減少させることが予想される。よって本研究の評価項目に新たに採用した。2)当院での測定を行うため、試薬購入・測定機器の当院への貸し出し・測定のために臨床検査部と人員配置の調整を行った。現在、迅速な検査が可能な状況である。事前調査として腹部大動脈瘤患者のステント内挿術において、術中・術後に尿中NGAL測定を行い造影投与後の上昇を10症例で確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた評価基準では発症例が減少しているため前向き試験に必要な症例数が膨大なサンプル数となることが明らかになったため、評価方法の再検討に時間を要した。また当院で尿中NGAL測定及び尿中L-FABPのルーチン測定が出来ない状況にあったため検査に必要な機材の調達と人員配置調整のために時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究倫理審査委員会の承諾の取得後に胸部大動脈瘤患者を臨床研究に募集する。本研究は、120症例の参加者を募集する予定であったが評価項目の再検討から必要なサンプルサイズは30症例程度になると考えられる。中間解析を行い十分な効果が認められればその時点で報告としてまとめ、結果に基づいた体内薬物動態シミュレーションの構築および、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた研究が発症例が減少しているため、症例数に必要な試薬の購入ができなかったので、翌年度に持ち越して達成する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬の購入および学会発表や学術誌への投稿に使用する。
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