2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K10550
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
花崎 元彦 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学病院, 教授 (60379790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 虚血再潅流傷害 / 肺移植 / 麻酔薬 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度と同様に以下の方法でサンプルを得た。 1) 雄性Wistarラットを3群(対照(C)群、虚血再潅流(I/R)群、セボフルラン(S)群)に分けた。ペントバルピタールで麻酔し 動静脈路確保、気管切開を行った後に人工呼吸を開始した。胸骨横切開で両側開胸し、左肺門部をクランプ(=虚血、1時間)、解除(=再潅流、1時間)の後に左肺を摘出しRNAlater液中に保存もしくは凍結保存した。また左主気管支も採取してRNAlater液中に保存した。C群は開胸操作のみを行った。またS群はI/R群と同様のプロトコルだが気管切開後の全行程で2%セボフルランを付加した。 2) 3群から得られた肺組織よりsmall RNAを含むtotal RNAを抽出した。C群をコントロールとしたmiRNAマイクロアレイ解析ではI/R 群で 70 種類以上のmiRNAsに2倍以上の発現減少あるいは増加を認めた。リアルタイムRT-PCR法を用いて検討を行ったところI/R 群で有意な発現低下が確認されたものをデータベース検索したところそのターゲットとして RhoAが推測された。また、Western blot法を用いて検討を行ったところ、I/R群の肺組織においてRhoAタンパク質発現の有意な増加を認めた。これらよりRhoA/ Rho-kinase 系の亢進が肺虚血再潅流傷害に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットにおける肺虚血再潅流傷害モデルを用いて、コントロール群、虚血再潅流傷害群、セボフルラン群から得られた肺組織を用いて解析を進めた。miRNA マイクロアレイ解析でコントロール群、虚血再潅流傷害群の比較を行った結果、RhoA/ Rho-kinase 系の亢進が肺虚血再潅流傷害に関与している可能性を見出した。今後はセボフルラン群を交えた3群の比較により虚血再潅流傷害よびセボフルランの臓器保護効果のメカニズムを解明する、というプランを明確に立てることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
アレイの結果より発現変動が認められたもの以外の分子種についても同様の検討を行う。さらに、発現変動遺伝子の網羅的解析も行い、バイオインフォマティック解析の情報も合わせてmiRNAのターゲット遺伝子を予測して実際に同定するとともに、セボフルランの効果について評価を行い、その臓器保護作用のメカニズム解明に迫る。
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Causes of Carryover |
前年度に続いて虚血再潅流傷害モデルからの肺組織サンプル採取につとめた。出血など他の要因を極力廃した手術手技および手術環境の構築に万全を期した。この方針より解析に必要と思われるサンプル数を得るため実際には相当数の動物実験を繰り返し、実験環境および手技が最もよいサンプルを各群から選んだ。サンプル採取に比べて高価であるマイクロアレイ解析は年度の後半に施行を開始したが、これもまず各サンプルの状態が解析に適しているかどうかを判定した上で協議し、その上で実際の解析に入るという手順であった。万全を期す意味でこれらはすべて必要であったが、全体として時間を要し、当初見込まれていたペースよりも若干遅くなったため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
肺虚血再潅流傷害モデルから得られた標本によるマイクロRNA解析、その結果に基づくクラスタリング解析、さらにはウェスタンプロットやリアルタイムPCRなど生化学的解析を続けるため消耗品(試薬、抗体)に用いる。
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[Presentation] 門脈気腫症4例の検討2016
Author(s)
池本直人, 片山浩, 吉田悠紀子, 福田直樹, 那須敬, 落合陽子, 花崎元彦
Organizer
日本臨床麻酔学会第36回大会
Place of Presentation
高知市文化プラザかるぽーと(高知県高知市)
Year and Date
2016-11-05
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