2015 Fiscal Year Research-status Report
新生児期の術後痛がもたらす神経発達異常におけるエピジェネティック制御の関与
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15K10558
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野村 有紀 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60643955)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 術後痛 / 学習障害 / 新生児 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新生児期における痛み刺激がもたらす学習機能への影響を調べると同時に、ニューロモジュレーターに対して引き起こすエピジェネティック変化を解析し、新生児における疼痛刺激が後天的にもたらす有害性についての明らかにすることを目的とする。本年度は、術後痛全体を評価するためのモデルとして、腹膜切開モデル(生後1週間以内の新生児ラットに対して、セボフルラン麻酔下にラット下腹部傍正中に3~5mmの縦切開を加え、腹膜、皮膚切開部を縫合閉創する)を作製した。この術後痛モデルではヒトの術後痛における経時的変化と同様に数日間持続すると予想される。さらに、術後痛がもたらす神経発達への影響を解析するために、上述の新生児術後痛モデルを用いて、生後6、8、12週齢での行動評価(自発行動量と空間作業記憶の評価として、Y字迷路、活動量と自発性評価として、オープンフィールド試験、痛覚感受性の評価としてvon Frey試験を試行している。さらに術後痛モデル動物の大脳、海馬における疼痛関連遺伝子について一部で発現量の変化を認めており、現在詳細を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を実施していく中において、行動解析に用いる機器の納入に予想以上の日数を要した上、動物実験施設の工事により、途中で計画を一時中断せざるを得ない状況にあり、その調整に予想外の日数を要したため年度内に完了することが困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在解析中の遺伝子について発現量の変動が認められる遺伝子について、DNAメチル化解析を行う。さらに術後痛モデル動物の脳における遺伝子発現変化の網羅的解析(DNAマイクロアレイ法)を行い、術後痛によってもたらされる神経発達異常に関与する新規のニューロモジュレーターを探索する。
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Causes of Carryover |
研究を遂行する中で、行動解析機器の価格が予想よりも安価に収まったこと、および施設の工事によって研究が一時中断せざるを得ず、計画全体の遅延に伴い、予定していた一部の試薬および動物の購入を次年度に繰りこすことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に行ってきた、行動解析および遺伝子発現量の解析を続行するとともに、実施できなかった疼痛関連遺伝子のメチル化解析を行う。さらに、当初予定していた網羅的遺伝子発現解析を行い、術後痛が及ぼすエピジェネティクス変化の詳細を検討する。
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Research Products
(3 results)