2017 Fiscal Year Research-status Report
サブスタンスP受容体を介した鎮痛補助薬の止痒メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K10564
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山口 敬介 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (10338410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 功 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164399)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サブスタンスP / NK1受容体 / 鎮痛補助薬 / MAPキナーゼ / 掻痒 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痒疹,皮膚掻痒症、帯状疱疹後掻痒などの難治性掻痒は、ともに強い痒みを訴える疾患であり,日常生活にも支障をきたすことから、QOL,学習効率、労働生産率を著しく低下させことが明らかである。近年、抗てんかん薬や抗うつ薬、免疫抑制剤が難治性掻痒に対する止痒効果を有することが報告されているものの、詳細なメカニズムは不明である。神経伝達物質サブスタンスP(以下SP)は、疼痛や炎症機構に関連しているばかりでなく、痒みのメディエーターとしての側面が注目されている。そこで本研究では、SP受容体シグナル伝達系を用いて、抗てんかん薬および抗うつ薬、免疫抑制剤のSP受容体を介した止痒メカニズムを解明することを目的とした。抗てんかん薬であるガバペンチン(以下GBP)、プレガバリン(以下PGB)は神経障害性痛の治療薬として臨床的にも使用されている。 平成29年度は前年に引き続き、SP受容体を介したシグナル伝達に対するGBPおよびPGBの作用を検討した。方法として、U373 G細胞株を用い、GBPおよびPGBのSP刺激によるMAPキナーゼおよび核内転写因子NF-kBのリン酸化および炎症性サイトカイン、ケモカインであるインターロイキン(IL)-6およびIL-8の産生抑制作用を検討した。その結果、PGB (1mM)およびPGB (1mM)は、SP(100nM)によるp38リン酸を抑制したものの、ERK1/2に対する抑制効果が部分的であることを明らかにした。また、NF-kBのリン酸化および核内移行を抑制することが明らかにした。一方、PGB(1mM)およびPGB(1mM)はSP(100nM)によるIL-6およびIL-8の産生を有意に抑制することを明らかにした。 以上より、GBPおよびPGBの抗炎症作用は、SP受容体を介するシグナル伝達への影響であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、動物を用いたin vivo解析を開始している予定である。しかし、実験方法の修正に時間がかかり、遅れが生じている。止痒メカニズムに関しては検討が及んでいないため、平成30年度は研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoにおけるGBPおよびPGBの効果を検討する。また、その他の鎮痛補助薬(局所麻酔薬=リドカイン、抗うつ薬など)や免疫抑制剤ついても検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
研究が計画通りに進まなかったため、次年度まで計画を延長した。 実験、および学会等の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)