2016 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌細胞表面糖鎖を標的としたバイオマーカーの探索と新規治療法の検討
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15K10569
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
飛澤 悠葵 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70623768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 真吾 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10400136)
米山 徹 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50587649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖生物学 / 分岐型糖鎖 / 抗糖鎖モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度構築した抗体ファージライブラリを用い抗体の獲得を目指し検討を行った。昨年度検討したモノクローナル抗体の系ではO-結合型糖鎖反応性の抗体の有無については明らかとなったが、本来獲得を目指す糖鎖構造の一つI-分岐型糖鎖抗原に反応する抗体の獲得は困難であった。そこで、前立腺癌細胞株においてI-分岐型糖鎖構造の発現量を検討し、抗体の濃縮に有用な細胞株の選出を行った。その結果、前立腺癌細胞株にいては22RV1細胞株においてGCNT2発現により形成されるI-分岐型糖鎖構造が検出限界以下であることをフローサイトメトリーにより確認した。そこで、GCNT2を定常的に発現する22RV1-GCNT2株を樹立したところ、I-分岐型糖鎖構造が高発現することを確認した。ファージライブラリによる抗体の濃縮には本細胞株を用い、親株である22RV1に反応する抗体を除去する手法を用い、現在抗体の獲得を行っている。 本年度はさらに、膀胱癌におけるGCNT2の発現が癌細胞の挙動および癌患者の予後と相関するかを検討した。抗GCNT2ポリクローナル抗体を用い膀胱癌TURBT標本の免疫組織染色を行ったところ、前立腺癌とは異なりGCNT2を高発現する膀胱癌細胞は悪性度が低い結果が得られた。また、膀胱癌細胞株を用いた検討では筋層浸潤膀胱癌細胞株であるT24、YTS-1細胞株に比べ非浸潤癌であるRT4細胞株において高発現することを確認した。膀胱癌における発現の意義については現在YTS-1にGCNT2を導入したYTS-1-GCNT2細胞を樹立し、まずはin vitroでの癌細胞の増殖能、浸潤能について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ファージライブラリによる抗体獲得にシフトし検討を行っている。細胞株の樹立、濃縮方法の検討などで時間を使ったものの、ファージライブラリについては樹立できており、またプレリミナリ実験ではファージ抗体が使用可能であることが確認できたため、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はファージライブラリを用いた抗体獲得の準備に費やしたため、抗体の最終的な獲得には至らなかったが、有用な細胞株の選定とファージの性能チェックは行えたため来年度の抗体獲得に目途がたった。さらに、膀胱癌細胞株においても分岐型糖鎖構造による癌悪性度の変化が見られたことから、並行して有用性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、マウスへの免疫を最小限にしファージライブラリの準備を行ったため、予定の研究費を使用する必要がなくなったため次年度への繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ファージライブラリで良クローンが獲得できた場合には、ファージ抗体からリコンビナントのIgG抗体に変換するためのベクター準備及び発現、精製系の構築に使用する。ファージライブラリによる獲得が困難である場合に、マウスへの免疫方法を変更しハイブリドーマを獲得するために使用する予定である。
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