2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア内分子シャペロンを標的とした尿路上皮癌に対する新規癌治療戦略
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15K10579
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 宗一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80383280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 竜一 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (10401358)
齋藤 一隆 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (10422495)
藤井 靖久 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70282754)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / TRAP1 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能な腎盂尿管癌、および膀胱癌に対する治療法は未だ有効でなく、新規の治療戦略の樹立が期待されている。申請者はミトコンドリア内に局在する分子シャペロンであるTumor necrosis receptor-associated protein 1 (TRAP1)は、ミトコンドリア内の呼吸鎖反応を抑制することによって、呼吸鎖と細胞質での解糖系とのバランスを司っていることを明らかにした。同研究成果に基づき、ミトコンドリア内分子シャペロンを標的とした尿路上皮癌に対する新規癌治療戦略を樹立するべく、本研究では、TRAP1のチロシンリン酸化による機能調節メカニズムを明らかにするとともに、TRAP1が低下している細胞における、合成致死性を誘導する代謝関連遺伝子を同定し、選択的に悪性度の高い癌に対する有効な治療戦略を確立することを目標とする。 申請者はこれまでの研究にて、TRAP1がチロシンリン酸化蛋白であり、チロシンリン酸化キナーゼである、c-Ablとc-SrcがTRAP1と結合していることを見出しており、チロシンリン酸化がTRAP1の機能制御に重要である可能性を考慮している。さらに、質量分析による解析にて、TRAP1のY498残基がリン酸化を受けていることを確認した。TRAP1の498番目のチロシン残基に変異を導入し、リン酸化の評価を行ったところ、TRAP1-Y498Fでは、野生型TRAP1と比較して、cSrcによるリン酸化の程度が減少していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究成果に基づき、c-Ablもしくはc-SrcがTRAP1のY498残基に対するチロシンキナーゼであることを評価することを目標とした。野生型TRAP1およびTRAP1-Y498Fの蛋白精製を行い、精製TRAP1蛋白のc-Srcによるリン酸化の変化をin vitro kinase assayにより評価した。In vitro kinase assayにて、c-Srcによるリン酸化は野生型およびY498F変異型ともに得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、翻訳後修飾によるTRAP1の機能調節機構の解明を行うべく、TRAP1のリン酸化変化による、細胞のATP産生量の変化、および酸化的リン酸化の指標である細胞の酸素消費量の測定を行う予定である。 さらに、c-Ablを含めたチロシンキナーゼによるTRAP1蛋白のリン酸化の評価を、in vitro kinase assayにより行う。
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Causes of Carryover |
変異型TRAP1蛋白の精製を必要とするin vitro kinase assayを中心的に施行したため、平成28年度に予定していたTRAP1のリン酸化変化による細胞の機能評価が行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TRAP1のリン酸化変化による細胞の機能評価が行うとともに、当初予定していたTRAP1 ノックアウトおよびノックダウン細胞株に合成致死誘導する遺伝子を同定する実験を平成29年度に施行予定とする。
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