2016 Fiscal Year Research-status Report
探針エレクトロスプレー法質量分析装置による癌バイオマーカーの検索と臨床応用
Project/Area Number |
15K10581
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山岸 敬 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30436860)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、探針エレクトロスプレー法を用い、臨床上もっとも低侵襲で十分量得ることができる尿を検体として質量分析を行い、癌患者と非癌患者の特異的差異を判別することである。泌尿器科領域でメジャーである、前立腺癌と膀胱癌に対する健康診断レベルでスクリーニングを、より簡便に迅速にそして安価に行うことができるシステムを構築することで臨床上広く普及すると考えられる。山梨大学医学部倫理委員会へ申請し、山梨大学学長の承認を得た。山梨大学医学部附属病院の書式による同意書を用い患者個々に上記のような研究目的を明記し、インフォームドコンセントを行い検体採取の同意をいただいている。前立腺癌に関しては、PSA値が基準値以上で前立腺針生検を行う予定の患者に対して通常の直腸診を行い、直後に尿を採取して検体とする。また膀胱癌に関しては、経尿道的膀胱腫瘍摘除術を予定されている患者からの採尿は、手術当日早朝尿を採尿して検体とする。コントロール群の尿検体はボランテイアから採取する。それぞれの検体は処置することなく-80℃で冷凍保存している。検体の管理は個人情報の観点、検体の整理の観点から、実験助手に一任して管理している。今後は、ある程度の検体が蓄積したら、検体を解凍し探針エレクトロスプレー法質量分析装置で質量スペクトルを得てデータを蓄積する。また、同検体を外注にてメタボローム解析し、悪性腫瘍に特異的な物質名と質量を得る。質量スペクトルと比較し、ピークを示す質量の物質を特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
山梨大学医学部倫理委員会への申請書類作成に難渋した。 検体採取は統一性を持たせるため、同一医師が行っており、説明し同意書を得るまでに時間がかかるため、日常診療中に採取できる検体の数は限られるため。
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Strategy for Future Research Activity |
同様に検体収集、質量スペクトル解析は継続して行う。メタボローム解析も同様に前立腺癌患者と膀胱癌とコントロール群の尿検体を外注にて依頼し、差異を示す物質を同定する。この時、統計学的に必要な検体数が判定できるのであれば随時メタボローム分析数は調節する。コントロールとしての正常検体の必要量は、得られた癌症例数によって、また統計学的に有意差を得るに足る検体数を準備する。正常検体と癌検体のスペクトルは視覚的に差異を比較すると同時に、それぞれのピークの平均比率を算出することで数値化し、統計学的に有意差を生じる閾値を設定する。この診断基準に従って新規患者の癌診断を行い、有用性の検討を行う。差異を生じる物質の種類が2~3個程度であるならば従来通りのそれぞれの項目単独で判定可能と考えるが、多数であるならば、スコア化するなどの工夫が必要と考える。現段階では詳細な方法を決定することは難しい。
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