2016 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌由来エクソソームを用いた癌進展機構の解明および新規尿中マーカーの開発
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15K10588
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 和利 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50636181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々村 祝夫 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30263263)
植村 元秀 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (40631015)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常上皮細胞や癌細胞は自らのタンパクや核酸などを膜小胞(エクソソーム)を形成して細胞外へ輸送し、離れた部位もしくは周囲の細胞に影響を及ぼしている。エクソソームは血液や尿中に安定に存在し、診断への応用が期待されている。今回、直腸診後の尿中エクソソームに着目し、プロテオミクスの手法を用いて高リスク前立腺癌の新規尿中バイオマーカの探索を行った。 前立腺生検前に直腸診後の尿を採取し、尿中エクソソームを分離した(生検陰性6名、生検陽性12名(Gleason score (GS) 6:6名、GS 8-9:6名))。エクソソーム由来タンパクをiTRAQ法にて質量分析(LC-MS/MS)を行った。複数の候補タンパクについて別のコホート(生検陰性11名、前立腺癌18名)で多重反応モニタリング法(SRM/MRM)を用いて検証した。 iTRAQ法を用いて尿中エクソソームより合計3520個のタンパクを同定した。11個のタンパクが生検陰性群及びGS 6群と比べGS8-9群で有意に上昇していた(p <0.05)。これら複数のタンパクをバイオマーカー候補としてSRM/MRM法にて検証したところ、Fatty acid binding protein 5 (FABP5)が有意にGSと関連し(p =0.011)、また生検陰性群に比べ前立腺癌患者において有意に高値を示した(p = 0.009)。ROC解析ではGS 7以上の検出に対するAUCは0.856 (95% CI 0.708-1.00, p = 0.002)であった。 尿中エクソソーム中のFABP5は高リスク前立腺癌と関連し、新規の尿中高リスク前立腺癌バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規バイオマーカーを同定し、その検証を別コホートで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺全摘除標本での発現の状況を確認を行てっている。また前立腺癌細胞株でのFABP5の発現を確認し、エクソソーム中での発現も行う予定である。それをもとにメカニズムの解明を行う。
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Causes of Carryover |
H29年度購入予定の物品予算が想定よりも増額したため、H28年度の支出を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度購入予定の物品費に補填する。
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