2016 Fiscal Year Research-status Report
尿路癌の新たな治療標的および予後予測因子としてのFes/Ferに関する網羅的検討
Project/Area Number |
15K10594
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹原 浩介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (40580345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40404256)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Fes / 膀胱癌 / 細胞増殖 / 細胞浸潤 / 遊走能 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、悪性度の高い膀胱癌のcell lineであるT24におけるFesの意義を解析してきた。一方、今年度は、T24細胞に加えて、悪性度の低い(G1相当)RT4細胞と、悪性度が中間(G2相当)相当とされる5637細胞についても、Fesの病理学的意義に関する検討を加えた。 具体的には、これら悪性度の異なる3つの尿路癌細胞におけるFesの発現をsi-RNAでknock down(KD)すると、T24細胞においては、その増殖、浸潤、遊走能がwild type(WT)に比し有意に抑制された一方で、5637細胞とRT4細胞では、このような変化を認めず、KDとWTの間に有意な変化はなかった。 そこで、Fesの膀胱癌患者の組織における発現を検討したところ、pT stageや癌細胞増殖(Ki-67 labelling index)との正の有意な関連をhigh grade癌でのみ認め、low grade癌ではこのような臨床病理学的意義を認めなかった。このように、cell linesを用いた検討と臨床検体を用いた検討の結果は一致しており、Fesはhigh grade癌においてのみ、その病理学的役割を果たすことが推測された。 一方、このような癌促進因子として働くことが推測されるものの、臨床検体における癌細胞のFesの発現は、low gradeにおいてhigh gradeよりも高いことがわかった。つまり、この意味ではtumor suppressorとして働いていることが推測された。 このように、Fesの膀胱癌で果たす病理学的意義は、悪性度の違いやin vivoとin vitroで異なることがわかった。この相違点の機序について現在、さらに、詳細な解析を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、in vitroおよび臨床検体を用いた解析では、予定よりも順調に解析が進んでいる。一方、動物実験は手続き上の問題もあり、着手したばかりであり、総合的にみるとおおむね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞および臨床検体を用いた解析は、Fesが膀胱癌で果たす臨床病理学的役割の全体像を把握できるところまで到達しており、今後も同様のペースで解析を行なう予定である。 動物実験もすでに軌道に乗っており、臨床検体を用いた解析で生じた疑問を解明する手助けとなるべく、よりエフォートを増やして研究に取り組む予定である。
|
Causes of Carryover |
割り引きを受けて購入できた試薬があったため、その差額です。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予定の文房具を購入する。
|