2016 Fiscal Year Research-status Report
腎癌骨転移における膜結合型タンパクの機能解析と新規治療法の確立
Project/Area Number |
15K10598
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
向井 尚一郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10315369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賀本 敏行 宮崎大学, 医学部, 教授 (00281098)
片岡 寛章 宮崎大学, 医学部, 教授 (10214321)
杉江 悟 宮崎大学, 医学部, その他 (50626140) [Withdrawn]
山崎 浩司 宮崎大学, 医学部, 医員 (30777355)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨転移 / 腎細胞癌 / マトリプテース / HAI-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.786-O細胞を用いて、腎細胞癌の骨転移マウスモデルを作製した。骨転移巣から採取した組織中のmRNAおよび蛋白を抽出し、real-time PCRで目的分子のmRNAの発現を、また免疫染色と免疫ブロットで蛋白の発現状況を確認した。その結果、骨転移巣で有意にタイプ2の膜結合型セリンプロテアーゼであるマトリプテースの発現増強がみられ、その制御因子であるHAI-2(hepatocyte growth factor activator type 2)の発現が低下していた。この現象は抽出蛋白を用いた免疫ブロットでも確認された。組織の免疫染色では骨転移組織に発現するMETのリン酸化が亢進している傾向がみられた。また親株に発現していないにもかかわらず、骨転移巣ではマトリプテースが高発現していた。また比較対象として腎被膜下に移植した病巣ではマトリプテースの発現はほとんど見られず、METのリン酸化も亢進していなかった。 2.骨転移モデルで使用する腎細胞癌株:786-OにおけるHAI-2の一過性ノックダウン細胞では、有意に癌細胞のマトリジェルへの浸潤能が亢進していた。遊走能には有意な変化は確認できなかった。 3.786-O細胞に、レンチウィルスベクターを導入し、ドキシサイクリンで発現調節が可能なHAI-2の恒常的ノックダウン、およびHAI-2の恒常的強制発現株の2種類を作製した。 4.恒常的HAI-2ノックダウン786-O細胞を用いたマトリジェル浸潤アッセイにおいても、有意に浸潤能は亢進していた。一方で遊走能はやや亢進する傾向がみられたが、有意差を認めなかった。浸潤能の亢進には、マトリプテースの機能(酵素活性)が寄与している可能性が考えられた。 5.786-O細胞において、HAI-2ノックダウンによりマトリプテースの発現が亢進する(逆相関)現象を確認した。これまでに複数の論文でも同じ現象が報告されており、検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HAI-2の恒常的ノックダウン786-O細胞を用いてマウスへの移植を試みているが、マウスの生命維持が困難で、うまく生着できておらず、原因検索を行っているが、それ以外の実験については概ね順調に進展しており、その成果を本年度の米国泌尿器科学会総会で発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.HAI-2の恒常的ノックダウン、および強制発現786-O細胞をモデルマウスに移植し、骨転移の形成能、維持能の比較解析を行う。 2.血管内皮細胞を用いた浸潤アッセイを行う。 3.破骨細胞との共培養を行い786-O細胞における各分子の発現の変化や増殖能、浸潤能、抗アポトーシス能の変化を評価する。 4.結果を解析し、論文、学会発表を行う
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Research Products
(1 results)