2015 Fiscal Year Research-status Report
本邦のバート・ホッグ・デュベ症候群の分子遺伝学的解析および疾患病態関連解析研究
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15K10600
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00260787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井川 昇 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (00237207)
古屋 充子 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10361445)
蓮見 壽史 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40749876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BHD症候群 / 遺伝性腫瘍症候群 / 腎がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦のバート・ホッグ・デュベ(BHD)症候群、その疑い患者についてカウンセリング、診療、病理診断及び遺伝子診断を行った。これまでにスクリーニングは157家系に達し、このうちの137例で責任遺伝子であるFLCNのgermline変異検出による遺伝子診断を実施し、120例で変異を確認し確定診断に至った。120例のgermline変異はエキソン(ex) 4~14のcoding領域全体に分布し、変異型の内訳は、挿入58 (48%)、欠失 45 (38%)、ナンセンス 8 (6.7%)、スプライスサイト点変異 4 (3.3%)、スプライスサイト欠失 3 (2.5%)、ミスセンス 2 (1.7%)で、フレームシフト変異が多くさらにナンセンス、スプライス変異も合わせるとFLCN蛋白が大きく破壊されるような変異がほとんどであった。またc.1285dupC (ex11)、c.1347_1353dupCCACCCT (ex12)、c.1533_1536delGATG (ex13)が各34、19、24例に見られ本邦での変異hotspotと考えられた。確定診断がついた家系患者の腎、肺、皮膚等の合併病変に関する臨床病理学的情報の収集も進めている。この過程を通して5例に腎腫瘍の手術を施行した。性別は男 4、女 1で年齢分布は49-56歳であった。病変腎は、両側多発 1例、両側各1ヶ 1、片側単発 3で、腫瘍総数は16ヶで、10cm大腫瘍の1例は根治的腎摘術を施行したが他は腎機能温存手術を行った。病理組織型は嫌色素型あるいはHOCTが大部分であったが、乳頭状と淡明細胞型も1例ずつ認めこれらは進行例であった。本邦のBHD症候群では欧米例と共通する部分とともに特徴的な臨床病態(phenotype)、遺伝子型(genotype)も観察され、さらに症例の集積と解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の見込みを上まわる数の家系患者が今年度は集まり、これらの診療、遺伝子診断や腎病変を含む臨床病理学的情報も集まりつつある。それらに関しての途中解析で、欧米例にはないような本邦のBHD症候群での特徴的な臨床病態(phenotype)、遺伝子型(genotype)もいくつか見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き同様なペースで、本邦の患者症例の集積を進める予定である。その為には、全国の関係する医師等の協力が不可欠であるので、様々な学会や研究会、論文等を通して研究活動を積極的に報告していく予定である。また集積した臨床病理学的情報の細かな分析や分子遺伝学的な解析、また腎腫瘍病変を中心に臨床的な解析とともに分子腫瘍学的な解析も今後進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定の試薬の納入が遅れたため、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に直ちに該当の試薬を購入し、当初の計画通り、本邦の患者症例の集積とともにその臨床病理学的及び分子遺伝学、分子腫瘍学的解析を進める計画である。
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