2016 Fiscal Year Research-status Report
IVR技術で磁性微粒子を癌転移巣に注入する新規温熱治療の臨床応用に向けた基礎研究
Project/Area Number |
15K10602
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20254279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30381867)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40264733)
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50551272)
小林 大地 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80570704)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん温熱治療 / マグネタイト / IVR / 動脈塞栓術 / がん転移巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度の研究計画はMCLの固形癌の転移巣への注入するためにIVR技術、すなわち動脈造影の技術を用いた標的臓器にMCLを留置する手技の確認を行うことであった。本学実験動物委員会に動物実験計画書の承認を受け、株式会社日本バイオリサーチセンター羽島研究所に委託してミニブタを用いた研究を行った。 研究には動物種:ミニブタ、系統:ゲッチンゲン、性別:雄、頭数:1頭、月齢:10ヶ月、体重17Kgを用いた。獣医による全身麻酔下(硫酸アトロピン0.05 mg/kg、塩酸メデトミジン0.05 mg/kg、ミダゾラム0.5 mg/kgを耳根部筋肉内投与し麻酔導入する。気管カテーテル挿管後、吸入麻酔器及び人工呼吸器を用いてN2O:O2=1:1の混合ガス+0.5~1.5%イソフルランの条件下で麻酔を維持)、背臥位で大腿部皮膚を切開し、大腿動脈にシースを設置。動脈造影用カテーテルを左腎動脈まで挿入し、マグネタイト混和物を10ml注入。留置検討試験で注入されたマグネタイトや造影剤をモニターするため、外科用X線テレビ装置(DHF-105CX-PC、株式会社日立メディコ)を用いてX線透視を実施した。 30分後まで透視画像で観察したところ、目的とした左腎上極皮質部位にマグネタイト混和物が注入され停留していることを確認した。摘出した腎臓の割面では、注入した領域が、血流が遮断されており灰白色に変色していた。同部位のHE染色標本では、糸球体にマグネタイト混和物が存在していることを確認できた。 マグネタイト混和物はラジオ波誘電加温装置で発熱することが確認できた。IVR手技を用いて標的臓器に注入かつ停滞させることは可能であった。 1). マグネタイト混和物の注入による動脈塞栓術の作用 2). 加温による抗腫瘍効果 の2つの作用の相乗効果が期待できると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニブタを用いる研究であったため、外部研究施設にて行うこととなった。獣医師による動物管理が可能であり、研究施設に透視撮影機器も揃っていたため、IVR手技を行うことが可能であった。一方、その研究施設にがん温熱治療器を搬入して実験をおこなうことができないこと、またミニブタの癌移植モデルは確立されていないことより、IVR手技によるマグネタイト注入後のがん温熱治療効果を確認する実験系の作成は困難と思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究目標は、H28年度に行ったIVR手技を用いたマグネタイトとリピオドールの混和物(マグネタイト混和物)を、ウサギなどの中型動物の腎臓に注入して、交番磁場を照射し加温の影響を組織学的に評価することである。 前段階としてラットなどの小型動物を用いて準備実験をすることが必要と考えている。
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