2015 Fiscal Year Research-status Report
新規低分子化合物APAの前立腺癌におけるアンドロゲン依存増殖阻害機構の解明
Project/Area Number |
15K10615
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
山崎 洋子 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 研究員 (80342690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 前立腺がん / アンドロゲンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、APAの作用機序解明のために放線菌培養からのAPAの大量精製を行った。震盪培養を行うとAPAは生産されないため静置培養で放線菌を培養していたが、生産効率は悪く、放線菌培養液1リットルからAPA2.2 mgしか精製することができなかった。そこで、静置培養での条件検討として、培養スケール、および培地検討を行った。培養スケールとしては、当初のフラスコを用いた培養では手間がかかるため、数種の大きな容器で培養を試みたが、25×15センチのバットでの培養が限界でそれ以上にスケールアップを行うと、APA生産が低下してしまうことが明らかになった。また、数種の穀物を用いた培地検討を行ったが、麦を用いた培地が最もAPA生産が高かった。同時に、静置培養では培養時間が非常に長いため、液体培地への変更も試みたが、液体培地ではAPA産生が非常に低下してしまい、条件検討を行っても改善されなかった。 次いで、条件検討から得た条件で大量静置培養を行ったが、予定していた生産量が得られなかった。そこで、オリジナルスラントからモノコロニー操作により25種類の新しいクローン株を得た。次いでこれらの新しい放線菌株をすべて静置培養し、APA生産量の検定を行った結果、以前の生産量を保った新しいAPA生産株を得ることに成功した。 また、マウスにおけるAPAの動態試験を行った。マウスにAPAを静脈投与したところ、10分後に血中からほぼ検出不可能な濃度に低下してしまうことが明らかになった。また、糞、尿、各臓器からは検出できないことから、僅かな時間で代謝されていることが予想された。 合成研究においてはAPAの側鎖のグルタミン酸部位を他のアミノ酸に置換する合成を試みた。数十のAPA誘導体の合成が既に完了しており、インビトロ試験ではAPAよりも強い活性の誘導体が得られた。今後、合成したAPA誘導体のマウスでの毒性試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
APA生産放線菌の培養および精製、誘導体合成においてはおおむね順調に進んでいる。しかしながら、アフィニティービーズを用いたAPAの標的タンパクの同定において、標準的な方法ではAPA結合タンパクが得られないことが明らかになった。今後、APAが確実にビーズに結合していることを確認した後にビーズとAPAを結合させる過程の条件検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に必要なAPAの確保においては今後も必要に応じて培養、精製を行う。条件検討および生産菌のクローニングによりAPAの生産量は向上したが、APA大量の確保は、培養からは困難であることが明らかになった。培養条件検討の過程で、APA生産菌を液体培養することによりAPAの側鎖のグルタミン酸部位がない化合物が大量に精製できることが明らかになった。そこで、グルタミン酸部位がない化合物を精製し、これを原料とした合成展開によりAPAを得る。 アフィニティービーズを用いたAPAの標的タンパクの同定においては、ビーズに結合させるAPAの量、アフィニティービーズの洗浄バッファーなどの条件検討が必要である。また、前年度は使用した細胞抽出液は、10%FBSで培養したものであるが、リガンドの添加、細胞抽出液の分画などを必要に応じて行う予定である。 APAの合成展開は引き続き行う。インビトロで抗前立腺がん活性が強かった誘導体に関しては、マウスにおける毒性試験を行う。結果が良かった誘導体に関しては大量合成を行い、治療実験へ進める。
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Causes of Carryover |
試薬購入後の請求が遅かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りに使用する。
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Research Products
(6 results)