2016 Fiscal Year Research-status Report
羊膜を用いた尿路上皮粘膜を持ち収縮および弛緩を行う膀胱の再生:イヌを用いた研究
Project/Area Number |
15K10623
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
上仁 数義 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90324590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 憲市 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40727434)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 膀胱再生 / 羊膜 / 口腔粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、イヌ口腔粘膜細胞を使用し羊膜、PLCLを足場とした膀胱の再生により、膀胱粘膜、筋層を持ち蓄尿および排尿が可能なイヌ膀胱を再生することです。イヌで予備実験を開始し、同時進行で小動物のラットでも実験を行う。 a)イヌを用いた実験:イヌから口腔粘膜細胞と胃平滑筋を取り出し、口腔粘膜からケラチノサイト(角化細胞)と線維芽細胞を取り出し、羊膜上で7日間培養。さらに、イヌの胃から胃平滑筋を取り出し、初代培養。羊膜上への細胞播種。これらを重ね合わせ球状のポリプロピレンに巻き付ける。膀胱組織が再生されるかを確認し、イヌのミンチ状胃平滑筋をPGAフェルトで挟み、上に羊膜上で培養した口腔粘膜細胞を乗せ、繭状にして腹腔内培養する。大網の血流を維持した状態でこの筋層および血流を有する口腔粘膜パッチを萎縮膀胱(膀胱頂部を切断し、膀胱容量を著明に減少させた)に縫い付け膀胱拡大術を行う。膀胱組織の再生を長期的に観察し、組織学的評価、ウロダイナミクス評価(膀胱の形態、内圧、機能を評価する)を行う。 b) 小動物であるラットを用いた実験:ラットでイヌと同様の研究ができるかどうか予備実験を行い、実験の妥当性を検討する。小動物での実験が成功すれば、さらなる研究の広がりが期待できる。ラットの口腔粘膜からケラチノサイト(角化細胞)と線維芽細胞を取り出し、羊膜の材料上で7日間培養。さらに、ラットの胃から胃平滑筋を取り出し、ミンチ状にしたものを羊膜上で培養する。口腔粘膜羊膜シートと胃平滑筋シートを重ね合わせポリプロピレンに巻き付け、膀胱組織が再生されるかどうかをラットで短期的に観察する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1:羊膜上に口腔粘膜上皮細胞を乗せ培養し、免疫染色(HE染色、CK(MNF116)染色)を行う。結果1:ウサギ口腔粘膜上皮細胞は継代数10まで順調に生育を確認できた。また、羊膜上に細胞を播種したところ羊膜上に一層の上皮層が確認できた。 実験2:足場材料PLACL上に胃平滑筋細胞(イヌもしくはウサギ)を乗せ培養し、免疫染色(HE染色、α-SMA染色)を行う。結果2:胃平滑筋細胞は、継代数10まで順調に生育し、紋状が確認できた。コラーゲンをコーティングした足場材料PLACL上に播種した胃平滑筋細胞は図5のように層状になるのが確認できた。 実験3:上皮と平滑筋層を重ね合わせたシートをウサギ大網上に並べ重ね合わせ、3週間腹腔内で共培養を行ったのち、シートを取り出し、その状態を確認した。結果3:上皮と平滑筋層を重ね合わせたシートは、大網と合わさり血流供給されていた。
|
Strategy for Future Research Activity |
大網よりの血流供給を受けた 上皮と平滑筋層を重ね合わせたシート(組織)を免疫染色し、層構造を確認するととともに、作製した組織を膀胱欠損部に貼り付け膀胱拡大術を行う。組織が膀胱に生着したことを確認し、ウロダイナミクス検査で膀胱機能を評価する。
|
Causes of Carryover |
イヌを用いた動物実験の施行計画に遅延が生じ、未使用研究費が残ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、遅延なく研究が進行しており、実験予定の遅延が回復する見込みである。
|