2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症を基盤とする病態におけるヒト外尿道括約筋の脆弱化機序の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
15K10625
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健一 大分大学, 医学部, 助教 (00579013)
住野 泰弘 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30325716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / 外尿道括約筋 / TNF-α / 加齢 / 尿失禁 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト外尿道括約筋細胞の分化能とTNF-αが与える影響についての検討 (方法) 予め同意を得た膀胱全摘患者より外尿道括約筋を初代培養し、ヒト筋不死化法(Shiomi et al.2011)に基づき cyclin D1, Cyclin dependent kinase3, teromeraseを遺伝子導入した長寿化したヒト外尿道括約筋細胞を作成した。①NCAMを一次抗体とするimmunostaingにて括約筋細胞であることの確認、②培養継続可能であるか、③分化能の有無、④TNF-α添加による分化能への影響を検討した。分子生物学的解析には筋分化のマーカーであるmyosin heavy chainを一次抗体とするwesternblotting, immunostaing, real time PCRを行った。また⑤TNF-α添加によるシグナル伝達の変化についてwesternblottingを行った。 (結果)①NCAM陽性細胞がほぼ100%であった。②長寿化ヒト外尿道括約筋細胞は倍加時間を維持したまま40代まで継代が可能であった。③分子生物学的解析では分化後は分化前と比較して有意にmyoshin heavy chainの発現が高くみられた。④分子生物学的解析ではTNF-αの濃度依存性にmyosin heavy chainの発現は低下した。⑤TNF-α添加下では、pAkt, pNF-κBの発現が有意に低下していた。 (まとめ) 加齢は慢性炎症を伴い、また高齢者において尿禁制が低下することが報告されている。今回、炎症性サイトカインの一つであるTNF-αを添加することによりヒト外尿道括約筋細胞の分化能が抑制され、その機序としてAktとNF-kBシグナル伝達経路が関与していることが示唆された。抗炎症治療により外尿道括約筋細胞の分化能低下を阻害できる可能性があり、高齢者尿失禁治療あるいは予防に有効である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性サイトカインの一つであるTNF-αが外尿道括約筋の筋分化を抑制することが示唆された。加齢は種々のサイトカインが上昇することが報告されており、各サイトカインの作用、作用機序を解明することで筋分化能を改善し尿失禁治療へつながることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、加齢に伴い上昇する他の炎症サイトカインについても同様の検討を行うほか、外尿道括約筋細胞が自己分泌するケモカインの作用についても検討を行う。
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Research Products
(7 results)