2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症を基盤とする病態におけるヒト外尿道括約筋の脆弱化機序の解明と治療法の開発
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15K10625
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健一 大分大学, 医学部, 助教 (00579013)
住野 泰弘 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30325716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / 外尿道括約筋 / TNR-α / 加齢 / 尿失禁 / Akt / p38 |
Outline of Annual Research Achievements |
TNF-αはヒト外尿道括約筋の分化を抑制する (方法)同意を得た膀胱全摘患者の外尿道括約筋を初代培養し、ヒト筋細胞不死化法による遺伝子導入にて、ヒト外尿道括約筋細胞を長寿化させ下記を検討した。①NCAM, sarcomeric actin, desminを一次抗体とする免疫染色、②培養継続の可否、③分化能の有無④TNF-α添加による分化能への影響、⑤TNF-α阻害薬であるEtanercept前投与後のTNF-α添加による分化能への影響、⑥④と⑤におけるシグナル伝達経路の変化。③-⑤の分化能評価はqRT-PCR, western blotting, 免疫染色でのMyosin heavy chain(以下MHC)の発現にて、⑥の評価はAkt及びp38を一次抗体とするwestern blottingにて行った。 (結果)①NCAM, sarcomeric actin, desmin陽性にて外尿道括約筋細胞と同定した。②倍加時間維持したまま40代まで継代可能であった。③分化前に比べMHCの発現は増加した。④TNF-αの濃度依存性にMHCの発現は低下した。⑤Etanercept前投与しない群に比べMHCの発現は増加した。⑥TNF-α添加によりAkt, p38の発現低下、Etanercept前投与によりAkt, p38の発現改善した。 (まとめ)加齢による外尿道括約筋数の減少の原因として慢性炎症が考えられており、炎症性サイトカインであるTNF-αは病勢の主な指標である。今回、筋分化可能な不死化ヒト外尿道括約筋を確立した。さらに、TNF-αはp-38MAPK及びPI3K/Aktシグナル伝達経路を介してヒト外尿道括約筋細胞の分化を抑制し、TNF-α阻害薬はその分化抑制を阻害することを示唆する結果を得た。TNF-α阻害薬は高齢者尿失禁の治療の一つとなる可能性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症サイトカインの一つであるTNF-αが外尿道括約筋の筋分化を抑制し、TNF-α阻害薬はその分化抑制を阻害することをが示唆された。加齢は種々のサイトカインが上昇することが報告されており、各サイトカインの作用や作用機序を解明することで筋分化能を改善し尿失禁治療へつながることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト外尿道括約筋衛星細胞株の高純度化を行い、加齢に伴い上昇する他の炎症サイトカインが増殖・分化に与える影響についても同様の検討を行うほか、外尿道括約筋細胞が自己分泌するケモカインの作用についても引き続き検討を行う。
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Research Products
(5 results)