2016 Fiscal Year Research-status Report
The exploratory research of congenital hydronephrosis using animal model
Project/Area Number |
15K10631
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高山 達也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90324350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 辰男 自治医科大学, 医学部, 教授 (40200422)
中井 秀郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (50167540)
久保 太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (50508744)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先天性水腎症 / ポリアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
尿および血清の生化学データの解析: Luc-Tg LEW(LTL)ラットの雄8~10週齢をポリアミン含有量0.1%飼料(P食)で飼育・観察を行った。7週間目に開腹して観察し、5匹のLTLラットの4匹が典型的な水腎症を確認した。同様にポリアミン0.01%含有飼料(通常食)を与えたLTLラット5匹を準備し、比較対象とした。尿ではNAGと微量アルブミン、血液ではBUNとCreを測定した。血液検査では両者に差はなかったが、尿検査ではP食群でともに高値を示した。 病理標本の解析:P食を摂取し、水腎症を呈したLTLラットと通常食を摂取したLTLラットより腎臓を摘出し、腎臓の切片を作製した。P食群のみに腎皮質および腎髄質の薄層化、糸球体の圧迫による極小化が確認され、典型的な水腎症であると断定した。肥厚領域は異形核が無い点、増生細胞の形態等から「がん」では無いと診断した。糸球体に病理組織学的に破綻はなかった。 検体に含まれているポリアミン濃度の測定:水腎症を呈したP食群(LTLラット)およびP食を与えたWild-typeのLEWラットより腎臓を摘出し、腎臓組織内の各種ポリアミン濃度を測定したが両者で差はなかった。従って、LTLラットで誘発された水腎症はポリアミン摂取が直接的原因では無く、染色体上の変異が直接的な要因であり、ポリアミンが関与している事が示唆された。 腎組織からの核酸抽出および変異領域の検討:ポリアミン摂取により水腎症を呈するLTLラットと水腎症を呈しないWild-type LEWラットの腎臓組織よりゲノムDNAを抽出した。Reversed PCR法とLuciferase cDNAに特異的なPrimerを用いて、ポリアミン関連および水腎症関連の遺伝子情報をDNAシーケンサーにて解析を行う。現在はゲノムDNA抽出が終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果では水腎症の発症原因がLuciferase cDNAが挿入された遺伝子領域の破壊である事が判明した。本成果により、破壊された遺伝子または遺伝子領域はポリアミン代謝経路または間接的にポリアミンが関与している遺伝子群に対して重要な機能不全を示唆する事が予想された。当該年度の研究成果は水腎症発症メカニズムの解明および治療法の開発に繋がる事が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の3項目について検討をする。 ①Reversed PCR法を用いて、ポリアミン摂取による水腎症発症に関与するゲノムDNA 上の遺伝子変化部位または領域を同定する。 ②研究協力者に検体を送り、メタボローム解析を実施する。 ③「①」と「②」の実験成果を基に、代謝関連遺因子の機序解明を目的として遺伝子発現解析をReal-time PCR法にて遺伝子発現量を定量化して検討する。特に重要と予想される因子はタンパク質レベルでの発現定量および構造変化などを検討する。
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