2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞による多発性嚢胞腎組織発生モデルの開発
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15K10632
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
堀江 重郎 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40190243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 常染色体優性多発性嚢胞腎 / ADPKD / iPS |
Outline of Annual Research Achievements |
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、ほぼ全例で腎容積(TKV)が増大する。TKVが大きいほど、腎機能が低下するが、TKVの測定方法が確立していない。多くの場合、臨床では楕円法(π/6 x 長径 x 短径 x 高さ)で計算されるが、測定者間および測定者内でも10%近い誤差が生じるため楕円法によるTKVはあまりにも不確実である。正確かつ簡便なTKV測定方法を確立するためにSYNAPSE VINCENT嚢胞腎追跡アプリケーションを開発した。楕円法(r = 0.9504)と比較して、Vincent法(r = 0.9968)は高い相関係数であった。また楕円法では正確な腎容積と14.2% ± 22.0%の差があるのに対して、Vincent法では0.6% ± 6.0%であった。 また、cAMPとバソプレシンがADPKDの病勢進行に関与することが知られ、バソプレシンの前駆物質であるコペプチンの血中代理マーカーとしての検討はすでに報告されているが、いまだ確立していない。しかし、尿中コペプチンの濃度がADPKD患者の重症度と関連があるかどうかは知られていない。そこでCKDステージ1-4のADPKD患者で尿中コペプチン濃度(u-copeptin)をELISAで測定し、eGFR、総腎臓容積(TKV)と身長補正したTKV(htTKV)を含む臨床パラメータと比較した。u-copeptin/u-CrはTKV(R = 0.351, p = 0.014)、htTKV(R = 0.383, p = 0.008)と有意に相関し、eGFR(R = -0.304, p = 0.036)と有意に逆相関した。したがってu-copeptin/u-CrはADPKDの重症度に関するマーカーと考えられた。 以上のようなADPKDの進行における有用な代理マーカーが、今後iPS細胞によるモデルの寄与すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADPKD患者からのiPS細胞樹立を試みた。まず、ADPKD患者の皮膚初代培養からiPS細胞樹立を行う前に、セルラインからiPS細胞樹立を試みた。山中4因子(Oct 3/4, NANOG, KLF-4, c-MYC)をレトロウイルスベクターを用いて導入し、フィーダー細胞上で培養した。得られたコロニーよりiPS細胞の未分化マーカーを確認したが、一部で十分な発現が見られず、精度の高いiPS細胞樹立には至っていない。技術面と導入遺伝子の組み合わせの問題が原因と考えられ、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きiPS細胞の樹立に向け導入する遺伝子の変異(LIN28)や、遺伝子導入方法についてレトロウイルスベクター以外の方法を試みる。方法が確立されれば、ADPKD患者の皮膚から初代培養を行いiPS細胞を樹立する。作成したiPS細胞を用いてMOD/SCIDマウスに奇形腫を発生させ、臓器病態モデルを作成し、ヒトで有用であった代理マーカーの発現など解析を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Technical Evaluation: Identification of Pathogenic Mutations in PKD1 and PKD2 in Patients with Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease by Next-Generation Sequencing and Use of a Comprehensive New Classification System2016
Author(s)
Kinoshita M, Higashihara E, Kawano H, Higashiyama R, Koga D, Fukui T, Gondo N, Oka T, Kawahara K, Rigo K, Hague T, Katsuragi K, Sudo K, Takeshi M, Horie S, Nutahara K.
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Journal Title
PLos One
Volume: 11
Pages: e0166288
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Evidence-based clinical practice guidelines for polycystic kidney disease 20142016
Author(s)
Horie S, Mochizuki T, Muto S, Hanaoka K, Fukushima Y, Narita I, Nutahara K, Tsuchiya K, Tsuruya K, Kamura K, Nishio S, Suwabe T, Ubara Y, Ishimura E, Nakanishi K, Furukawa K, Kimura K, Matsuo S.
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Journal Title
Clin Exp Nephrol
Volume: 20
Pages: 493, 509
DOI
Peer Reviewed
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