2016 Fiscal Year Research-status Report
間質性膀胱炎におけるハンナー病変の病態解明と新規バイオマーカーの探究
Project/Area Number |
15K10633
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
古田 昭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90349613)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 間質性膀胱炎 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】今回われわれは間質性膀胱炎(IC)に対する膀胱水圧拡張術あるいは電気焼灼術前後における尿中炎症性サイトカインの経時的変化を検討した。 【方法】ハンナー型IC(HL)群:10例、非ハンナー型IC(NHL)群:10例、コントロール群:10例より、治療前に尿と膀胱組織をそれぞれ採取した。NHL群には膀胱水圧拡張術、HL群には電気焼灼術を施行し、6、12ヶ月後にそれぞれ尿を採取した。同時に、IC質問票(OSSI、OSPI)とVASスコアを尿採取時に回答してもらった。MIPPLIPLEX immunoassay kitを用いて、41種類の尿中マーカーを測定した。また、膀胱組織中のIL-1受容体拮抗物質(IL-1Ra)の発現を免疫染色で評価した。 【結果】治療前において、尿中VEGFとIL-1αがHL群とNHL群で、CXCL8 とCXCL10がHL群で、それぞれコントロール群と比較して有意に上昇していたが、HL群とNHL群間ですべての尿中マーカーに有意差は認められなかった。IL-1Raは主として膀胱上皮に発現しており、HL群ではNHL群ならびにコントロール群と比較して、その発現が有意に低下していた。治療前と比較して、HL群とNHL群ともに尿中IL-1Raが治療12ヵ月後で有意に上昇していたが、その他すべての尿中マーカーに有意な経時的変化は認められなかった。OSSI、OSPI、VASスコアは治療前と比較して治療6、12ヵ月後でそれぞれ有意に低下しており、NHL群でこれらスコアと尿中IL-1Raレベルの間にそれぞれ正の相関が認められた。 【結論】炎症性サイトカインであるIL-1の体内産生拮抗物質であるIL-1Raは主として膀胱上皮に発現しており、頻尿や膀胱痛との関連が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は間質性膀胱炎の尿中バイオマーカーに関して、CXCL10/CXCL8(Tリンパ球/好中球比)が有用であることを見出し、特許を申請した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は症例数を蓄積し、1)臨床症状がオーバーラップする間質性膀胱炎と過活動膀胱を尿中バイオマーカーを用いて鑑別すること、2)間質性膀胱炎患者の外科的治療前後における尿中バイオマーカーと臨床症状との相関ならびに経時的変化について検討することを目標とする。
|
Causes of Carryover |
間質性膀胱炎の外科的治療前後における尿中バイオマーカーの症例を現在蓄積中であり、次年度にまとめて炎症性サイトカインを測定する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
41種類の尿中炎症性サイトカイン、ケモカイン、成長因子をマルチプレックスを用いて測定する。
|