2015 Fiscal Year Research-status Report
造精機能障害診断ツールとしての精漿中microRNA発現プロファルの解析
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15K10652
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉池 美紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60398964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60046117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 造精機能障害 / miro RNA / 精漿 / 男性不妊症 / 診断マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1. miRNA網羅的解析用検体の選定:まずは精巣生検組織を病理学的に見直し、厳密に定義できるsertoli cell only (SCO, Johnsen score: 2.0), maturation arrest (MA, Johnsenscore 4-6), obstructive azoospermia (OA, Johnsen score: 8以上)、ならびに正常検体として妊孕能を有する男性(Fertile men, FE)のうち特に造精機能のパラメーターが高い個体を選択し、それらの精漿をライブラリから選出した。 2. 精漿からのtotal RNA抽出法の検討:精漿は蛋白濃度や粘性が高く、通常の方法だけでは純度が非常に低いtotal RNAしか抽出できなかったため、精漿からの最適な抽出法を検討した。その結果、まずはグアニジンチオシアネート溶液(Trizol)を用いて抽出、イソプロパノール沈殿の後、スピンカラム(miRNeasy Plasma kit, Qiagen) にて精製する方法が最も純度の高いRNAを抽出することができた。200uLの精漿から抽出したtotal RNAの収量は407ng~1306ngで260/280比は1.37-1.55であった。 3. miRNAマイクロアレイ解析:RNAの純度が高かった検体からFE 3例、SCO 2例、MA 2例、OA 1例を解析用検体としてDNAチップ研究所に委託してAgilent SurePrint G3 Human miRNA microarray (miRBase21) を用いてアレイ解析を行った。RNA integrity numberは1.7-2.8と非常に低かったがmiRNAの解析には問題がないと考え、各検体スタート量small RNA 10ngにて解析した。クラスタリング解析では各群の階層が明確に分かれる傾向は見られなかったが、主成分分析より第三主成分まで含めると累積寄与率が70%を超えることから、これらの主成分によりデータの発現傾向が説明出来た。FEと比較して発現上昇していたmiRNAの数はSCO:178, MA:94, OA:238、発現が低下していたmiRNAはSCO:27, MA:170, OA:12であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの経過は、検体の選定、RNA抽出、精製、miRNAマイクロアレイ解析による検体ごとのmiRNAプロファイル作成まで進んでいる。 精漿は蛋白濃度や粘性が高く、通常の方法だけでは純度が非常に低いtotal RNAしか抽出できなかったため、より良い抽出、精製方法の検討に予想以上の時間がかかってしまった。 予定ではマーカー候補miRNAによる評価パネルを作製するところまでが本年度の実施計画であったが、十分に検討できていないため、次年度はそこから検討を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
1. miRNA評価パネルの作製:平成27年度の結果よりプロファイルを解析し、症例3群のmiRNA発現をそれぞれ正常対照群のプロファイルと比較し、各症例群で発現が有意に変動しているmiRNAを抽出する。各群を分類するために必要なmiRNAだけを複数個(理想的には20個程度)抽出し、マーカー候補miRNAによる評価パネルを作製する。 2. 精漿中のmiRNAを指標とした造精機能評価スクリーニングのための検討:様々なタイプの症例を含む多数例の不妊症患者について、精漿中のマーカー候補miRNAをquantitative reverse transcription PCR (qRT-PCR)で定量する。miRNAの発現量と臨床データとの比較から、造精機能障害の程度や精巣組織・細胞の成熟度、Y染色体の微小欠失の有無などをmiRNAのプロファイルから予測することの可能性を検討する。同様の検討を多様な精液所見を示す正常男性集団についても行なう。 3. 精巣内精子の有無を予測する因子としての検討:MD-TESEの結果(精子の有無)が分かっている患者の精漿について、同様にマーカー候補miRNAをqRT-PCRで定量する。病理学的評価と精巣精子の有無を併せて検討し、予測因子となるマーカーmiRNAを同定する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ解析の依託費用の支払請求が3月中に完了しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに委託事業は完了し支払請求済みのため、4月中に予算執行される予定である。
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