2016 Fiscal Year Research-status Report
Expression profiling of microRNAs in seminal plasma as a new tool for diagnosis of spermatogenic disorder
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15K10652
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉池 美紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60398964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60046117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 男性不妊症 / microRNA / 造精機能障害 / 精漿 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣生検組織の病理学的分類からsertoli cell only (SCO, Johnsen score: 2.0)2検体, maturation arrest (MA, Johnsenscore 4-6)2検体, obstructive azoospermia (OA, Johnsen score: 8以上)1検体、ならびに正常検体として妊孕能を有する男性(Fertile men, FE)3検体の精漿を用いてマイクロアレイ解析を行った。各症例群で発現が有意に変動しているmiRNAを抽出したところ、FEと比較して発現が上昇していたmiRNAの数はSCO:178, MA:94, OA:238、発現が低下していたmiRNAはSCO:27, MA:170, OA:12であった。この中から、コントロールであるFE3検体の上限値と比較して2検体とも発現が2倍以上亢進しているmiRNAに絞り込んだところ、SCO,MAともに亢進:7、SCOのみで亢進:17、MAのみで亢進:1であった。同様にFE3検体の下限より2倍以上発現が低下しているmiRNAは、SCO,MAともに低下:1、SCOのみで低下:1、MAのみで低下:4であった。この解析結果をもとに、発現亢進25、発現低下6からなる造精機能障害の評価パネルを作成し、quantitative reverse transcription PCR (qRT-PCR)にてこれらのmiRNAの定量を試みた。しかし、精漿からのRNA抽出が純度・収量ともに安定して行えなかったため、まずは前処理についての検討を行った。フィルター濾過と濃縮により最適な前処理法を確立し、その後qRT-PCRにてmiRNAの定量に着手したが、多数例の解析には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの経過は、検体の選定、RNA抽出、精製、miRNAマイクロアレイ解析による検体ごとのmiRNAプロファイル作成、造精機能障害の評価パネルの作成まで進んでいる。 本年度は、まずは精漿からtotal RNAを抽出し、候補miRNAについてqRT-PCRにて定量を試みた。しかし、従来の方法を用いた抽出では、精製RNAの純度・収量が低く、qRT-PCRで安定した結果が得られなかった。そこでWangら(Biotechnol Appl Biochem. 61:342-8, 2014)の精漿中のmiRNAは30-90kDaの蛋白と結合しているという報告に基づく前処置を試みた。すなわち精漿を0.1μmのマイクロフィルターにて濾過し、30kDaカットオフのウルトラフィルターにて濃縮後、TRIzol LSを用いた定法にてmiRNAの抽出を行った。この方法により安定してmiRNA抽出を行うことが可能となり、候補miRNAについてqRT-PCRを用いた定量を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 精漿中のmiRNAを指標とした造精機能評価スクリーニングのための検討 様々なタイプの症例を含む多数例の不妊症患者について、精漿中のマーカー候補miRNAをqRT-PCRで定量する。miRNAの発現量と臨床データとの比較から、造精機能障害の程度や精巣組織・細胞の成熟度、Y染色体の微小欠失の有無などをmiRNAのプロファイルから予測することの可能性を検討する。同様の検討を多様な精液所見を示す正常男性集団についても行なう。 2. 精巣内精子の有無を予測する因子としての検討 MD-TESEの結果(精子の有無)が分かっている患者の精漿について、同様にマーカー候補miRNAをqRT-PCRで定量する。病理学的評価と精巣精子の有無を併せて検討し、予測因子となるマーカーmiRNAを同定する。
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Causes of Carryover |
分担研究者の施設において臨床検体(精漿)とデータの収集が開始できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度から臨床検体の収集に着手できるため、予算の執行が可能となる。
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