2016 Fiscal Year Research-status Report
精巣、副甲状腺に強く発現する新規遺伝子による精子分化機構の解明
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15K10653
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
畑村 育次 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (80336883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊治 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50275351)
鍵弥 朋子 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (50717650)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精子形成 / 無精子症 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、27年度から引き続き二次性副甲状腺亢進症モデルラットの上皮小体よりクローニングした遺伝子:KANSL1-L(KAT8 Regulatory NSL Complex Subunit 1)遺伝子をKO(Knock out)したマウスを用いて、そのKOマウスの精巣が優位に小さく、その精巣組織においてはB型精母細胞から一次精母細胞は確認されるが、それ以降精子の分化を全く認めることができなかった病態の変化を分子生物学的、病理学的手法を用いて、精子形成に及ぼすKANSL1-L遺伝子の働きの検索を行った。病理学的には4週齢後以降より明らかに野生型マウスの組織と異なり、野生型では見られる減数分裂によってつくられた配偶子、すなわち精子細胞(spermatid)やその後精子形成をへて成熟した小さくとがった精子は全く認められず、A型精母細胞、それから有糸分裂をおこない精子を産生するように運命づけられたB型精粗細胞を認めることはできたが、それ以降の精子細胞の分化の過程を示す細胞は全く認められなかった。すなわちB型精母細胞から成熟した精子を作製する分化機能は最初の段階から全く機能していないということが組織学的に考えられた。一方非造精細胞、セルトリ細胞、ライデッヒ細胞は組織学上正常であった。分子生物学的には後期パキテン期より発現するHaspin遺伝子の発現を認めるも、ディアキネシス期以降で発現するCcna1遺伝子の発現を認めず、それ以降で発現の見られるPrim1~Tnp遺伝子の発現を認めなかった。すなわちKANSL-1KOマウスの精巣組織において精子形成の分化はB型精粗細胞の分裂過程のパキテン期後期からディアキネシス期で止まっていると考えらた。またKOマウスの精巣においてはアポトーシスが亢進しており精巣の成熟に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスの系統維持に手間取ることがあったが、大きなトラブルはなく今現在問題なく順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスの系統維持を継続しながらの研究であり、若干の軌道修正が考えられるがおおむね順調に研究が進んであおり、計画通りに研究を進めていく方針である
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Causes of Carryover |
昨年度はほぼ順調に進んではいるが、マウスの系統維持が手間取ったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額が10%未満なので、来年度は特に問題なく使用できる。
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