2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10655
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
湯澤 映 弘前大学, 医学研究科, 研究員 (40725339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 幹二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (20311540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 切迫早産 / 子宮頚管無力症 / 絨毛膜羊膜炎 / PTX3 |
Outline of Annual Research Achievements |
絨毛羊膜炎(chorioamnionitis ; CAM)は早産の原因の3分の2以上を占める疾患である。CAMを発症すると、子宮頚管や羊水中において種々の炎症性サイトカインが誘導され、局所の持続的な炎症が惹起され、最終的に早産に至る。現状では子宮局所の炎症を早期かつ非侵襲的に捉えることは困難であり、子宮頸管長短縮などの早産徴候が出現してから治療を開始しても、早産を抑制できないことが多い。最近の研究により早産発症には絨毛羊膜炎(CAM)を主因とする炎症性変化が密接に関連していることがわかってきた。早産発症には以下のような経過が考えられている。 ① 細菌性腟症が発症。② その上行性波及によりCAM を発症し、大腸菌菌体毒素のリポ多糖が免疫細胞を刺激。 ③ その結果炎症誘導型サイトカインTNF-α、IL―1β産生。④ IL―1βは炎症誘導型サイトカインIL-6の産生を促進し炎症反応拡大。⑤ IL―1βはIL-8の産生も促進し、好中球が子宮頸管局所に遊走し、頸管熟化、卵膜の脆弱化促進。 ⑥IL―1β、TNF-αはCOX-2 を増加させ、局所でProstaglandin の産生促進され、子宮収縮発生。⑦陣痛発来、子宮頸管熟化、破水、炎症反応の拡大し早産に至る。 PTX3 は、体内の炎症により産生される蛋白質である。PTX3はCRP と同じPentraxin super family に属する。PTX3はLPS やインターロイキン1β、TNF-αなどの炎症シグナルに反応して血管内皮細胞や血管平滑筋細胞などから産生されるため、主にIL-6 の刺激により肝臓で産生されるCRP と比較し、より鋭敏に局所炎症を反映すると考えられ、炎症性疾患の重症度判定や治療予後の予測に有用性が期待されている。 本研究はPTX3 によりCAM に依存した早産を早期診断できるかを明らかにすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに正常妊婦における妊娠中のPTX3の経時的変化についてはデータがほぼ得られた。現在は切迫早産、早産妊婦の症例についてのPTX3の経時的変化のデータの収集中である。 具体的には12週、20週、28週、36週の妊婦健診のルーチン採血時に合わせて同意を得られた妊婦から採取した。 70人程度の妊婦から結果が得られ。その結果、3.28±2.16、3.19±1.62、3.78±1.79、5.68±4.12ng/mlとほぼ週数に依存して増加していくことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は切迫早産、早産妊婦の症例についてのPTX3の経時的変化のデータの収集中である。 CAM を主因とする切迫早産における子宮頸管局所の炎症を血中PTX3測定により早期にとらえ、できるだけ早期に治療を開始することが、早産減少ひいては新生児予後の改善につながる。 PTX3 によって採血のみで鋭敏に炎症を捉え、子宮頚管における炎症を抑制できれば、医療費節減という経済的効果も期待できる。
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Causes of Carryover |
切迫早産例におけるPTX3の測定人数が予定よりも若干少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度さらに数名の切迫早産例における測定で使用することとなる。
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