2016 Fiscal Year Research-status Report
自然周期採卵における小卵胞由来卵子の由来推定とその有用性
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15K10659
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 宏一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (70507194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生水 真紀夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (30226302)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小型卵胞 / 自然周期排卵 / 成熟卵 / 小卵胞穿刺 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、自然周期による採卵の効率を上げるため、主席卵胞以外の小卵胞に注目した。卵胞径3-10mm を小卵胞と定義し、主席卵胞と小卵胞の穿刺吸引し、それぞれをIVFに供した。主席卵胞では62個中、良好胚盤胞に至ったものは37個で59.7%。一方小卵胞では、55個中良好胚盤胞が26個47.3%で、自然周期ではほぼ同等の胚盤胞発生率となっている。しかし、採取された患者背景を考えると、小卵胞から卵採取できる場合は30歳台が多く、同年齢の主席卵胞では良好胚盤胞獲得率は高くなってくると思われる。 そこで小卵胞における卵成熟を促す環境因子の探索を行っている。 卵胞液中のステロイド、ゴナドトロピン計測の結果はエストロゲンが主席卵胞の10分の1程度、黄体化により上昇するP4は1/13程度であることを明らかにした。LHサージによる卵子成熟の開始、黄体化には十分量のエストロゲンが必須であることから、小卵胞では、LHサージを介さない機序により卵子成熟が起こっていることが推定された。 卵丘細胞卵複合体(COC)の環境の違いによる形態変化に着目した。MII卵子であった、小卵胞由来卵丘細胞では一部の細胞が凝縮し、細胞密度が粗である特徴があった。この特徴は一般的には過熟と表現されているものであり、散在する細胞塊はapoptosis陽性細胞であった。この観察結果は、小卵胞内の環境が卵丘細胞に影響していることを強く示唆する。小卵胞由来MII卵子が閉鎖卵胞由来であること考えられる。現在マウスのCOC観察モデルを構築し、培養環境を変えることにより、その形態変化を観察し、初期閉鎖過程をモデル化し、COCでの遺伝子発現の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵胞ホルモンの計測は何とか出来ているが、mRNAを、卵丘細胞のみから抽出することが難しく、マウスCOCを用いた、ex vivo実験系を構築している。
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Strategy for Future Research Activity |
小卵胞のex vivo実験系により、培養条件を変えることにより、初期閉鎖卵胞の形態を持つCOCに対し、卵丘細胞での遺伝子発現の変化を見ることにより、candidateを見つけ出し、ヒトで得られた小卵胞で、免疫染色等で発現を確認し、初期閉鎖卵胞の特徴を見出すだけではなく、その盤胞発生率の増加条件、2細胞での多核割球の出現頻度の低下条件等を検索していく。
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Causes of Carryover |
残額が少額であり、適切な購入物品がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度予算として、消耗品の購入に充てる。
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