2017 Fiscal Year Research-status Report
癒着胎盤に関連するmRNA/microRNAの同定と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
15K10676
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 敦 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (50432977)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (00363490)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 前置胎盤 / 癒着胎盤 / 分子マーカー / micro RNA / 術中超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は前置胎盤15例の検体を集積した。妊娠20週頃より経時的に母体血の採血を行い、胎盤特異的microRNA(mir518bなど)を分子マーカーとして癒着胎盤のリスク推定を試みたが、平成29年度の前置胎盤15症例についてはいずれも臨床的に癒着胎盤などではなかったため、癒着胎盤のリスク評価は不可能であった。癒着胎盤は当科のような高次医療施設でも稀な疾患であり、研究に必要な十分な検体数が集まらない恐れがあるため、今年度からは癒着胎盤の可能性がある症例については大学病院への積極的な紹介を依頼し、前置胎盤の症例数としては増加したが、それでも必要な検体を採取することはできなかった。平成30年度より研究代表者が長崎県北部の周産期基幹病院に移動したことから、今後は長崎県全体からの症例が集積できる予定である。また、帝王切開術中の超音波検査の有用性については、平成28年度までの研究で癒着胎盤の診断での有用性が確認されていた。平成29年度のすべての症例においても術中超音波検査は施行できており、全例において子宮筋層と胎盤の間に存在する底エコー域(sonolucent area)が明瞭に描出でき、超音波所見から癒着胎盤の可能性は低いと判断し胎盤剥離を試み、子宮摘出を要するような多量出血をきたした症例はなかった。娩出した胎盤は病理組織検査に提出したが、癒着胎盤を疑わせる所見は認めなかった。この結果から、術中超音波検査が癒着胎盤のリスク評価に有用であることが改めて確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度も引き続き前置胎盤の検体集積を行い、前方視的に癒着胎盤のリスク推定に胎盤特異的micro RNAが有用か検討したが、癒着胎盤症例が認められなかったため、その有用性を評価することが不可能であった。一方、術中超音波検査による癒着胎盤のリスク評価は有用であることが確認でき、目的の半分は達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
胎盤特異的cell-freemRNA/miRNAマーカーセットの癒着胎盤への応用の可能性を前方視的に探る。平成30年度も引き続き検体の集積と前方視的研究を継続し、分娩後の所見との対比からスクリーニングシステムの有用性を評価する。
|
Causes of Carryover |
(理由)平成29年度は検体集積数が少なかったため、研究に用いた試薬も少なく、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 平成30年度も引き続き検体を集積し、癒着胎盤の前方視的アプローチによるリスク評価法の確立を目指す。これまで集積した癒着胎盤例も加えて最終的に目的を完遂するため研究費(microRNA解析のための試薬、旅費など)は計画通り使用される予定である。
|