2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K10678
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大場 隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (50244132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胎盤 / 間葉性異型性胎盤 / インプリンティング / 出世前診断 / 胞状奇胎 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.これまでの症例と併せて47例の国内症例を集積した。これは本邦における過去最大規模のPMDの症例集積である。47例のうち臨床情報のみの症例は17例、臨床情報に加えて組織標本の提供を受けたものは30例であった。 2.同一胎盤におけるPMDの病変は肉眼的にも組織学的にも均一ではなく、またp57KIP2の発現消失も同一胎盤内で正常発現と混在することが示唆されていた。HE標本にて正常胎盤の構築を示す領域では、p57KIP2の発現も正常であり、p57KIP2発現の異常を認めた例はなかった。いっぽうHE標本にてPMDの構築を示す領域では、p57KIP2が正常発現を示す部位と、PMD型の発現を示す部位が混在していた。病変の重症度と臨床像には関連がみられた。 3.エクソーム解析およびDNA microarrayを用いたコピー数異常の検索を行った結果、PMDの原因として遺伝子変異やゲノムの構造異常は否定的であり、エピゲノム異常によるものと予想された。エピゲノム解析では、GWpUPD mosaicを呈するPMD症例だけでなく、Biparental PMD症例でもインプリントDMRのメチル化異常を認めた。さらに、Biparental症例のメチル化異常は、Maternally methylated DMRの低メチル化が大多数であった。 4.母体血を用いた非侵襲的診断の陽性対象として、胞状奇胎症例に対して胞状奇胎除去術の前に採血を行い、血漿中よりcell-free DNAを抽出した。抽出されたcell-free DNAの濃度は著しく低く、マイクロサテライトマーカー解析において、絨毛由来DNAの解析で出現したピークは、母体血漿由来cell-free- DNAの解析では出現しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.症例の集積は概ね目標数に到達した。今後は妊娠中に疑われた症例を集積し、出生前診断へ向けての症例検討を行う。 2.ゲノムおよびエピゲノム解析は当初の計画以上に進捗している。 3.母体血を用いた非侵襲的診断に向けての検討では、陽性対照として用いた胞状奇胎症例で要製造を得ることが出来なかった。今回の症例は妊娠7週と早く、まだ絨毛のDNAが母体血中への流入が少ない時期であった可能性がある。陽性対照の選択について検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.これまでのゲノムおよびエピゲノム解析の結果より、Maternally methylated DMRに脱メチル化が生じ、paternal epigenotypeになることがPMDの発症に関連することが示唆された。Biparental PMD症例で認められたメチル化異常はすべて低メチル化であったため、遺伝子発現が増えていることが予想される。今後は、低メチル化を示したDMRのインプリント遺伝子について、アリルを区別したインプリント遺伝子の発現の(定量)解析を行う。 2.PMDに対するcell-free DNAによる診断法を開発するにあたっては、マイクロサテライトマーカー解析よりも鋭敏な解析方法(次世代シーケンサーなど)が必要であると考えられ、解析方法の見直しが求められる。
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