2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K10688
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 潤一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (80365775)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胎盤機能不全 / 胎盤早期剥離 / 前置胎盤 / 超音波ドプラ |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤早期剥離は、脱落膜内の血管の破綻、出血が増悪して発症する。胎盤早期剥離の微小な出血を現在の超音波検査など画像診断することは困難であるが、その何らかの微小な変化を捉えて、大きな出血を予測することを目的に検討を行っている。前置胎盤の出血も同様に内子宮口付近の脱落膜の剥離によって起こる。警告出血のあった前置胎盤で一度止血するのは胎盤剥離における脱落膜の微小な出血と同様なメカニズムであると考えられる。 微小な出血や血管を同定するために、超音波断層法において、新しいアルゴリズムを用いて組織の動きの特徴を解析することで、その信号を分離することでモーションアーチファクトを大幅に減らし、速度的に組織の動きと重なっている微細で低流速な血流を捉えて画像化することを可能にするSMI (Superb Micro-vascular Imaging) に着目した。今までは、子宮動脈本管や臍帯動脈といった比較的太い、流速の速いところしか描出できなかったが、本法ではより細い、低速な血流を描出できる。 子宮動脈の末端である螺旋動脈、臍帯動脈の末端である絨毛の低流速な血流状態を評価できることは胎盤や子宮自体の機能評価に繋がる。本年度は、本法を用いて胎盤の絨毛血管、子宮の螺旋動脈を繊細に表現できることを示し、胎盤の繊細な血流3次元画像を初めてpublishさせた。また、正常胎盤でみられる抹消まで存在する絨毛血管は、胎盤梗塞といった胎盤機能不全のある状態では描出されず、抹消の鬱滞のため本幹側が拡張する傾向にあることを捉えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常胎盤や前置胎盤、胎盤梗塞、胎児発育不全などの各種胎盤異常では微小血管の描出に成功しているが、胎盤早期剥離の頻度が少ないことや、突然発症することから、症例を得ることが難しく、症例収集が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
正常胎盤と異常胎盤のSMIを利用した血流評価において、その違いを定量化する方法を開発する。超音波ドプラ信号を解析し、2次元におけるピクセルや3次元におけるボクセルカウントが可能となれば、より客観的に胎盤機能を評価することが出来ると考えられる。また、母体血と胎児血は混合して表示されるため、より精度の高い評価のためにはそれらを分ける必要がある。それぞれの心拍数の違いなどを用いて分離可能とする方法を発案する。それらのデータの蓄積を行いながら、実際の胎盤早期剥離や前置胎盤の出血例での違いを示すことを目指す。 また、脱落膜の微小な出血によって分泌されうるPAPP-A, hCG, HPL, PP13, endoglin, FLT-1を標的に、それらの血清中蛋白濃度を定量し、上記の画像所見と組み合わせた胎盤早期剥離や前置胎盤の出血の発症予知の可能性についても検討する。絨毛膜下血腫などの胎盤早期剥離が発症している可能性の高い症例をターゲットにデータ収集する。
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Causes of Carryover |
血清マーカーの測定は、検体が揃ってからまとめて行う予定としている。費用のかかる血清マーカーの測定をまだ行っていないため、次年度使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目標検体数が揃い次第、血清マーカーの測定を行い、使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] The accuracy of diagnosing placenta previa on transvaginal ultrasound at 20-24 weeks’ gestation by distinguishing between the uterine isthmus and cervix2016
Author(s)
Junichi Hasegawa, Ikuno Kawabata, Yoshiharu Takeda, Hiroaki Aoki, Takehiko Fukami, Atsushi Tajima, Kei Miyakoshi, Katsufumi Otsuki, Norio Shinozuka, Yoshio Matsuda, Mitsutoshi Iwasita, Takashi Okai, Akihito Nakai
Organizer
The 26th World Congress on Ultrasound in Obstetrics and Gynecology
Place of Presentation
Rome (イタリア)
Year and Date
2016-09-27
Int'l Joint Research
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[Presentation] Goto M., Hasegawa J., Arakaki T., Takita H., Oba T., Nakamura M., Sekizawa A. Relation between the timing at open uterine isthmus and hemorrhage in placenta previa2016
Author(s)
Minako Goto, Junich Hasegawa, Tatsuya Arakak, Hiroko Takita, Tomohiro Oba, Masamitsu Nakamura, Akihiko Sekizawa
Organizer
The 26th World Congress on Ultrasound in Obstetrics and Gynecology
Place of Presentation
Rome (イタリア)
Year and Date
2016-09-26
Int'l Joint Research
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