2016 Fiscal Year Research-status Report
脳発生(大脳6層構造)から見た胎児・新生児脳障害の病態解析へのアプローチ
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15K10695
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
下屋 浩一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40291950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潮田 至央 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40454821) [Withdrawn]
村田 卓也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20714207)
冨松 拓治 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30346209)
中井 祐一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50271193)
中村 隆文 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20303969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新生児脳障害 / 神経前駆細胞 / 早産 |
Outline of Annual Research Achievements |
周産期医療の進歩により母子の予後は飛躍的に改善されているものの依然として新生児の脳障害は大きな課題である。胎児心拍モニタリングなどの分娩中の管理体制は整備されているにも拘らず、脳性麻痺の発生頻度には大きな変化を認めていない。母体のストレスが発達障害などのリスクとなり、胎児・新生児の感情表現が制限されることも報告されている。こうした脳の微細な変化も含めて脳障害を理解するためには脳の発生・発達も含めた包括的理解が必要となる。大脳皮質6層構造は哺乳類に特徴的な構造で、胎生期の神経上皮での神経前駆細胞(NPC)からの神経細胞への増殖・分化によって構築される。NPCからの細胞運命の決定には、細胞分裂を中止して分化を始めるシグナルが関与するとされ、脳の発生構築には様々な制御因子が関与していることが考えられ、周産期事象による生理的・病的因子が脳の発生構築に影響を及ぼすと考えられる。周産期脳障害において重要な課題である早産に着目し、子宮内感染による早産モデルを構築した。羊水腔内にLPSを投与する早産モデルを構築し、形質性アストロサイトのマーカーとしてS100β,繊維性アストロサイトのマーカーとしてGFAP,オリゴデンドロサイトのマーカーとしてOlig2,O4,ニューロンのマーカーとしてNeuN、核は DAPIにて染色して解析を行い、マウス大脳構造の変化を解析したところ、大脳6層構造の乱れが示唆された。また、臨床検体を用いた検討で母体のストレスマーカーによる母性行動の変化の可能性が示され、報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの羊水内早産モデルの構築に時間を要したが、LPS投与量の確立を行い、大脳構造の解析、脳組織への感染関連遺伝子導入に着手できつつあり、遅れを回復しつつある。臨床検体の集積に関しては病的検体数が少なく目標を達成できていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
検体の蓄積を更に行うとともに、炎症メディエーター関連遺伝子群のマウス脳室内遺伝子導入を行ってその影響を解析する。さらにマウス胎児脳組織から神経幹細胞を単離培養して炎症メディエーター添加実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
羊水腔内LPS投与早産モデルマウス作成に時間を要したためにその解析を次年度に行うこととなったことおよび臨床検体の蓄積が十分でないことからその解析を次年度に持ち越して検討を行うこととなったから
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
羊水腔内LPS投与早産モデルマウス作成に時間を要したためにその解析を次年度に行うこととなったことおよび臨床検体の蓄積が十分でないことからその解析を次年度に持ち越して検討を行うこととなったため、早産モデルマウスの解析を急ぎ行うことと、蛋白解析を網羅的に行う予定である。
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