2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症癌化過程におけるサイトカインとミスマッチ修復異常の関与に関する研究
Project/Area Number |
15K10710
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡 賢二 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (40345749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
山田 靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60646652)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70418721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミスマッチ修復以上 / マイクロサテライト不安定性 / 子宮内膜症 / 卵巣癌 / 炎症性サイトカイン / 癌化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はDNAミスマッチ修復(MMR)の指標であるマイクロサテライト不安定性(MSI)の陽性率は、正所性子宮内膜<卵巣子宮内膜症<内膜症に関連した卵巣癌、と病変の進行に従って高頻度であることを見出した。このことから子宮内膜症の癌化にはMMR異常が深く関与していることを見い出した。同時に我々は同一患者から採取した正常子宮内膜、内膜癌の前癌病変である子宮内膜増殖症、子宮内膜癌の3つの部位の遺伝子変異を全エクソンシークエンス法で解析したところ、内膜症で約4000箇所、内膜癌で約5700箇所、両者に共通な遺伝子変異が約2200箇所あることを見出した。さらにその変異のなかにはMMRの機能分子であるhMSH2やhMSH5の変異も含まれており、内膜組織の癌化の初期段階にはMMR異常が重要であることを明らかにした。MMRを調整する因子として我々はまずエストロゲンに着目し、発癌物質であるMNUを用いたマウス内膜癌発生モデルを作成した。このマウスに種々の濃度のエストロゲンを投与したところ、高エストロゲンはMMR蛋白の発現亢進を誘導し、癌化をむしろ抑制している可能性を見出した。この結果から内膜症には著明な炎症が伴うことから炎症関連因子に着目した。培養子宮内膜細胞に炎症性サイトカイン(TNF-a, IL-6)を添加して培養すると、MMR蛋白の発現が低下したことから、内膜症では炎症によるMMR蛋白の発現低下が内膜症の癌化に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は内膜症のMMRと炎症を介した癌化機序の検討が主目的であるが、その準備的実験として正常内膜のマウスMNU癌化モデルの実験を追加したため、内膜症の研究がやや遅れた。また研究施行予定であったin vitro ミスマッチ修復アッセイ実験の施行が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はサイトカイン添加下で培養した内膜のin vitro ミスマッチ修復アッセイを施行する予定である。また我々は内膜症では鉄イオンに由来する活性酸素(ROS)が癌化に重要であることを見出したが、このROSの蓄積とMMRの関係についても解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の準備的研究としてMNU実験を施行したため本研究での予算執行が遅れ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせてin vitro ミスマッチ修復アッセイを主とした消耗品費として使用する計画である。
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