2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるSIRT1機能とSIRT1阻害薬の効果の検討
Project/Area Number |
15K10711
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅香 亮一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (00623688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70418721)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 子宮内膜癌 / SIRT1阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
NAD依存性ヒストン脱アセチル化酵素であるSirtuin1(以下SIRT1)は正常組織においてはカロリー制限や種々のストレスにより発現が誘導され、細胞の寿命を延長させ、癌抑制的に作用していると考えられている。しかし、我々はこれまでの研究で、子宮内膜癌でSIRT1が高発現し、子宮内膜癌の発生、進展を促進している可能性を見出した。本研究では正常子宮内膜及び子宮内膜癌におけるSIRT1発現の意義を明らかにし、SIRT1阻害薬の新規分子標的薬としての有用性の検討を行った。昨年度までに我々は子宮内膜癌細胞株とマウス異種移植モデルを用いて以下について結果を得た。①子宮内膜癌細胞株の増殖はSIRT1増強で亢進、SIRT1抑制で低下した。(p<0.05)②シスプラチンは子宮内膜癌細胞株のSIRT1発現を増強した。③SIRT1発現増強はシスプラチン耐性を増強し、アポトーシスを減少させた。(p<0.05)④SIRT1発現増強によるアポトーシス減少はp53阻害薬で相殺された。⑤p53変異の有無にかかわらすSIRT1阻害薬はシスプラチン耐性を低下させた。⑥SIRT1発現増強はマウスでの造腫瘍能を亢進させた。⑦SIRT1阻害薬は単剤でp53変異子宮内膜癌細胞株のマウス移植腫瘍に対しても抗腫瘍効果を示した。 さらに本年度は腫瘍の発生、伸展に関わる経路を探索するため、子宮内膜癌より組織型により腫瘍の性質の異なる卵巣癌の症例を用いてSIRT1免疫染色で評価し、以下の結果を得た。①SIRT1は子宮内膜症および粘液性腺癌、明細胞癌において正常卵巣より高発現していたが、漿液性腺癌では発現は変わらなかった。②SIRT1高発現症例では有意に生命予後が低下した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、SIRT下流の分子の同定のため、マイクロアレイ解析を行う予定であったが、卵巣癌の各組織型の染色を行うことにより、新たにSIRT1の癌種による発現の差を見出すことができた。このことにより分子生物学的意義につき更に検討し、SIRT1下流の分身の同定につなげることが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
SIRT1強発現細胞とコントロール細胞において抗がん剤投与し、マイクロアレイ解析を行うことを計画している。また、卵巣癌で得られた組織型による発現の差より、環境因子、特に酸化ストレスの関与につき検討していく。
|
Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)