2015 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞腺癌における静脈血栓塞栓症の発症メカニズムの解明と治療戦略
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15K10722
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂口 勲 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40448527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / 静脈血栓塞栓症 / 卵巣癌 / 子宮内膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞腺癌に特徴的な臨床像として、他の組織型に比して静脈塞栓血栓症の合併率が高いことが知られている。周術期または術後の追加治療としての抗癌化学療法の際に深部静脈血栓症および肺塞栓症を合併していることは全身管理の観点から致死性の危険因子の一つと捉えられてる。本研究では卵巣明細胞腺癌の原因遺伝子であるARID1A蛋白の発現と静脈血栓症の臨床的因果関係を検討し、さらに分子レベルにおけるARID1Aと静脈血栓症関連分子との相互関係について解明することを研究目的とする。当施設で加療を行った卵巣明細胞腺癌についてARID1A蛋白の発現について免疫組織化学にてその発現の有無を調査する。さらにその臨床像として症例ごとの年齢、Body mass index (BMI)、D-dimerの推移および進行期分類について検討を加える。静脈塞栓血栓症を合併した症例に関してその発症時期、発症部位およびIVCフィルター挿入の有無等の臨床データの蓄積を行う。 今回2007年から2011年までに5年間で当教室で加療を行った卵巣明細胞腺癌18例のうち静脈血栓症を合併したのは3例(16.7%)であった。これらの症例に関して免疫組織化学にてARID1A蛋白の発現を検討した。その結果、静脈塞栓症を合併していた卵巣明細胞腺癌3例中2例にARID1A蛋白の発現が低下していた。しかし、現時点では統計学的には有意差は確認できず、さらに症例数を増やし検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣明細胞腺癌は上皮性卵巣癌の第2番目に多く症例数の集積は進んでいる。一方で潜在的な深部静脈血栓症の取り扱いについて再検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年以降の卵巣明細胞腺癌の症例を検討し、静脈血栓症の有無、ARID1A蛋白の発現について臨床データの解析を進める。 以前の研究でARID1A蛋白の発現を抑制した卵巣癌細胞安定株を用いたDNAマイクロアレイにより、細胞の形質膜の糖蛋白であるTransmembrane-4 L-six family member-1(TM4SF1)が過剰に発現していることが示唆された。TM4SF1は肺癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌で過剰発現しており、TM4SF1蛋白のノックダウンにより血管新生が阻害されることがCancer Research誌に報告されている。卵巣明細胞腺癌におけるARID1AとTM4SF1の発現に関して免疫組織化学レベルで相関性に関して評価を行う。
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